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魔力制御 Ⅰ

 込められた魔力は、杖から漏れ出す事はなく、しかし時折杖の周囲で紫電が奔る。

 ガルライディアは、エレクの持つ杖に尋常じゃない量の魔力が集められているのを感じた。

 魔力はどんどんと杖に注がれる。

 それに伴い、エレクの顔が険しくなっていく。


 魔力の注入が止まった。

 ただ、魔力が散る様子は伺えない。

 どうやら、この状態を維持するらしい。

 エレクの額を汗が伝う。

 先程から変わらない、否、より高い集中を以て、杖に魔力を留めている。

 だが、そう長くは続かない。

 何滴かの汗が彼女の顎から滴り落ちた。

 次の瞬間、紫電を纏った魔力が弾け、風がガルライディアの頬を撫でる。


「……このような形で、どうだ」


 荒れた息を一度整えてから、エレクは2人に視線を送る。


「上出来よ。しかも、あなた一月前よりも格段に上手くなってるじゃない」


 セージゲイズがエレクの成長に対して喜色をあらわにする。

 ガルライディアは、初めて見たので何とも言えないが、エレクの腕はこの一月で上がったらしい。


「ガルライディアさん、貴方にはエレクと同じように魔法具―『フライクーゲル』に魔力を込められるだけ込めてみましょうか」


 片方だけで構いませんが、なるべく短時間で多く。そう付け足すセージゲイズ。


「は、はい」


 ガルライディアは、目を瞑り言われた通りに右手の『フライクーゲル』に操れる限りの魔力を込め始める。

 だが、最初から上手くいく訳がなかった。

 魔力が移動するほどに、段々と『フライクーゲル』から赤い光が漏れ始める。


 それを見て何とか抑えようとするガルライディア。


「うんん、……んん?」


 だが、そうは問屋が卸さない。

 漏れ出る魔力は、減るどころか増える一方。


 魔力の動かす量を変えても、結果は変わらず。

 流れ方を断続的にしたりと幾つか試すが、全て効果無し。

 段々とガルライディアから流れる魔力は少なくなっていき、遂にガルライディアは、魔力の制御を止めてしまった。

読んで頂きありがとうございます。

今年の11月から始まり、早2ヶ月。

読者の皆様2ヶ月間ありがとうございました。

来年度も、私「月 位相」と「収束の魔法少女 ガルライディア」を宜しくお願いします。

次回更新は2022 1/4を予定しています。

楽しみにして頂けると、幸いです。

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