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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
真なる欲望

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見るに堪えない

難産

 変身してから、扉に手を掛ける。


 正直な話、酷く緊張している。よくよく見れば指先は震えていた。

 だが、それ以上にワクワクしていた。


 会ったことのない自分と同系統の先達達、その在り方に。


 深呼吸はしたばかり。

 呼吸を一瞬止めて、腕に力を込める。


 扉の奥では魔力が吹き荒れている。

 何があっても対応できるように備えて、少女は扉を開け放った。


 本来、訓練室は魔法を使えぬ職員が入っても大丈夫なように防壁が用意されていたりいるのだが、今回は参加する魔法少女の人数と魔力的に防壁の維持は少々困難だ。

 プログラム期間中、職員には訓練室周辺への進入禁止を言明されている。


 部屋に入ろうと足を動かしたガルライディアに真正面から魔弾が迫る。

 咄嗟に守美子仕込みの障壁を展開、前準備をしていたのもあってなんとか間に合わせる。


 ギリギリセーフ。

 魔法発動までの速度も課題だと脳内メモに刻んだあたりで炸裂音に混じり声が聞こえた。


「――だぁああッ、とっとと果てろよ! クソレズがァ……ッ!!」

「それは性的な意味ですかな? ジェミニ氏」

「絶命しろってんだよ、バァカッッ!」


 アサルトライフルとサブマシンガン対狙撃銃での撃ち合い、そこに混じる口での応酬。

 はっきり言って、帰りたい。引き攣って普段より応答の鈍いガルライディアの表情筋が死んだ。


 両手の銃を強く握り縦横無尽に駆け巡りながら、もう一方の狙撃銃の使い手に罵声と銃弾を浴びせる、ジェミニと呼ばれた魔法少女。

 赤い髪をウルフカットのように揃えて、サイバーパンク風のギリースーツに身を包んだ高校生くらい。

 双星の魔法少女 スカーレッド・ジェミニ。


 ジェミニに対して落ち着いた様子で狙撃銃を振るい、ジェミニの股間に標準を当て続ける変態は光芒の魔法少女 フラッシュ・ストリーク。

 白のインナーに黒いロングコートを纏い、腰には機械仕掛けのスタビライザーが備え付けられている。

 それでも狙撃銃の衝撃はかなりのもので、彼女の艶やかな黒髪を揺らす。


 非常に情操教育に悪い空間だった。

 ガルライディア本人は兎も角、クリムゾン・アンドロメダは大騒ぎして娘の目と耳を塞ごうとするだろう。

 小学6年の中でも知識に乏しいガルライディアにはレズ以外の意味合いが通じなかったのは救いだろう。


 魔法少女二人の戦闘を挟んだ反対側、ガルライディアは頭を抱える者、目頭を押さえる者、爆笑する者、おろおろする者を確認した。


 なんとも、まぁ、前途多難な訓練になりそうだ。


(取り敢えず、危ないから止めるように伝えないと………………)


 被害は既に半分出ている。

 あと0.1秒でも遅ければガルライディアは怪我をしていたのだ。


 文句も含めてぶちまけて良さそうだ。


 ガルライディアの中にあった先達達への尊敬の念や緊張は致命傷だ。

 本人が意識することは無いだろうが、ジェミニとストリークへの認識が図体のデカい餓鬼に固まったのは言わずもがな。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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