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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
真なる欲望

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252/265

宣戦布告

 それは唐突に始まった。


『はじめまして。私の名はヒュアツィンテ、『魔人同盟』が一員よ』


 全国放送を乗っ取り、ヒュアツィンテ――綾生――は大仰な身振り手振りで自己紹介を始めた。

 日曜日の昼過ぎ、全国放送どころか全てのチャンネルを奪い取り、全てのテレビからは同様の内容が流れている。


「綾生…………」


 本日は訓練含めての休日であった結はテレビの中のかつての友を睨むように見つめる。


 ぴくりと眉が震えた。

 いや、まずは全てを聴いてからだと被りを振る。


『我々『魔人同盟』の目標は、現代社会の崩壊。その中でも私は魔法少女のシステムを破壊したい』


 カメラに向かって訴えかけるように、その瞳には真摯な思い――らしき別物が浮かんでいた。

 だが、それは結が綾生の友であったから分かったもの、普通は分からないだろう。

 彼女が何かを誤魔化すとき特有の揺らぎがあった。


『極々少ない魔法少女だけが人類を守り、名声を得る。その他は彼女らに守られるだけ。歪でしょう?』


『守りたくても魔力が足りないものはいるでしょう。…………………………逆に魔力はあっても身体が追い付いていないものもいるでしょう』


 後半は綾生自身がそうであった。

 力無く笑っていた幼き頃の少女が脳裏に浮かぶ。


『『魔人同盟』の由来である魔人とは、特殊な魔法で肉体的魔力的に強化を施された存在を指すわ。実際どんな魔人でも魔法少女とそう大差ない能力は得られるわ。特に適性が高いものはAランク魔法少女複数と互角以上に戦えるほどに、ね』


 これはラウムによる嘘だ。

 結も鳴音から教わっていた。


『魔人化』の利点は最低でも魔法少女クラスの戦闘能力を確保できる点であると。

 だが、『魔人化』に適性は無く、あるのは魔人化される人間の魔法的能力による差異である。

 そして、基本的にこの世界に於いて、魔法少女(なれる可能性のある人物含む)を除く人々の性能に大差はない。


 だから最低でも『発散アイン』ダイバーは何かしら(恐らく魂への干渉)無茶な強化がされていたのだろうと。


 個人の性能次第ならば綾生が最強クラスの存在足り得るのも納得というものだ。

 身体が、魔力回路が弱かっただけで魔力量は人類最強だったのだから。


 なお、厳密には綾生の魔力回路は決して弱くないのだ。

 魔力量と比べると足りていなかっただけで、新人魔法少女の中に放り込めば魔力回路の性能も一番であろう。


『力無き事を呪う人、守りたいものがある人、思うように動かぬ身体をもつ人、我々は皆を歓迎しよう』


 ぷつりと映像が途切れる。


 その寸前に()少女の瞳が少しばかり虚ろであったことを見逃す結では無かった。



 _________________________




 ヒュアツィンテからの宣言に対して、魔法局は魔人となった者の末路や『魔人同盟』、ラウムの情報を書面にて公開した。

 戦いとなることまで諸々を公開し、『魔人同盟』側に揺らいだ者を大体はつなぎとめた。


 また、魔法少女には更に情報が渡された。

 鳴音や捕縛された魔人によるラウムや魔人の情報。


 そして、魔法少女強化プログラムについて。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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