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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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逆巻く

 白銀の魔力の主、暫定アンチクロックワイズにガルライディアの意識が奪われた数秒にも満たない時間。

 その僅かな間にラウムの時間は再び動き出した。


 破砕音のような音と共に、輝きが増した黒金の魔力が周囲にまき散らされる。


「チッ、早い」

「流石は英雄。よくぞこれ(・・)を使わせた、とでも言ってやろうか? 絶傷」


 頭を傾けて、額に生えた角、そこから漏れ出る金の魔力光を見せつけるようにしながら、表面的な強がりを見せるラウム。だが、彼女の本音は忌々し気に歪められたその表情で丸わかりだ。


 ラウムからすれば30年近く前から知っている存在。

 邪魔ではあるが、足跡は追えていなかった。


 そして、それはアンチクロックワイズからしてもそうだった。

 ここ半年で漸く手掛かりらしい情報を得て、当時いた地点から虱潰しに拠点を探しながらの移動であったために到着がかなり遅れてしまった。


 白銀と黒金の魔力が2秒の間に13度乱舞する。


 ラウムが展開する空間干渉魔法をアンチクロックワイズは逐一時間停止で無力化。

 だが、魔法の扱いは流石にラウムが上だ。


 密かに展開していた魔法を許すはめになる。

 瞬間、彼女らを囲むように4つ(・・)のアンチクロックワイズからすれば慣れ親しんでいる筈なのにどこか違う魔力反応が現れる。


「折角だ、私の研究成果の一部を見せてやろう」

「――止まれ!!」


 ラウムの言葉をかき消すように叫び、魔力反応の元の時間を止める。


 だが、動く(・・)


 ラウムを警戒しながらの魔法の発動。

 当然全力には程遠い。

 けれども、その力は伝説の英雄の中でも特異な力。

 現代の魔法少女で今の魔法に対抗できる可能性のある存在など3人といない。

 そもそも可能性のある二人もアンチクロックワイズに並ぶ特異存在だ。


 そして、彼女も。


 4つ、否4人の内の一人。

 和服を纏い刀を無造作にぶら下げた少女に見える女から朱殷(しゅあん)滅紫(けしむらさき)が螺旋を描くように噴き出した。

 先程の比ではないその魔力は時の魔力を抑え込んだ。


 でも、それ以上に濁っていた。

 朱殷と滅紫による時の白銀の抑制は他3人にも及び、極彩色、透明、灰色、それぞれが魔力を噴き出して徐々に動き出す。


 その光景に時の支配者は魔法の制御を更に乱した。


「――お前は私の仲間をなんだと…………ッ」

「モルモット。火雷と絶染は特に面白かった、ぞ」


 時間停止の魔法を魔力で弾きつつ、ラウムは大仰に両腕を広げる。


 火雷、絶染、絶在、絶壊。

 原初の五人の内、アンチクロックワイズを除いた面々。

 彼女らの死体の再利用。

 悪魔の所業に他ならない冒涜。


「これは我が成果のごく一部。魂を失った死体に適性の近い別の魂を入れることで死体の元が持っていた魔法の力を疑似的に再現したもの。――安心しろ、お前もお仲間と一緒に使ってやる」


 空間断絶、震界波、迫界など様々な魔法を同時に展開、アンチクロックワイズを屠る威力の魔法群が猛威を振るう。

 けれども、その程度で世界で唯一時間に干渉できる存在が殺せるわけがない。

 全ての魔法の時間を停止させる。


 アンチクロックワイズの出力はラウムに遠く及ばない。

 純粋な出力で言えば、エレクよりもかなり弱い。


 魔法を止めるだけでも結構な割合の出力が求められ、それが複数。

 それでは、他の対処にあたるキャパシティーは残らない。


 猛る朱殷と滅紫。

 それに対応できる者はそこにはいなかった。


 だが――


「――『悉皆還す赫灼(エレクトロキュート)たる霹靂(・テンペスト)』!!」


 この街には仲間がいる。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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