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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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雷音以て幻影拒む

幻影フィア』ハルと名乗った白髪交じりの女魔人。


 彼女から溢れるように放たれた黒灰の魔力を、エレクは紫電の魔力を自身を中心とした半径3mに展開して拒み、雷槍を十条高速で射出する。


「――ん……?」


 放った後の視界に違和感を覚える。

 普段のそれに薄く別の映像が重なる。

 正面にいる筈のハルが、別の地点にいるように見えるのだ。


 辛くも雷槍を回避したハルが走りながら魔法を編む。

 右手に魔力が集中したのを直感的に確認して、防御の薄れた身体、心臓を狙う。


「く……っ」


 身体を掠める雷電に思わず歯噛みしつつもハルは魔法を発動。

 だが、手応えがおかしい。


 バチリと電閃が瞬いた。

 ハルの魔法がかき消される。


「私に直接干渉するような魔法が効くと思うな」


 言葉と共に雷での檻を形成。

 ハルの動きを超高電圧で縛り――異様に圧縮した電子の壁を展開。


「チッ」


 ハルが放った光線の魔力を自身の魔力で圧倒し、エネルギーを電子群で吸収して、攻撃魔法そのものを完全に圧殺する。

 ハルの顔に焦燥が浮かぶのを見て、エレクは攻撃をより激しくした。


 弱めの雷撃を地を這うような軌道で放って、ハルの知覚を掻い潜るように麻痺を狙う。

 ハルの返答はほぼ(・・)全力で圧縮展開した光の壁による逸らし。


 バックジャンプで逸らした雷撃から完全に逃れる。

 その間にもエレクの視界には雷撃の直撃を受けても微動だにしないハルの姿が薄く見える。


(セージ姉がいないから確実なことは言えないけど、おそらくは光系。少し精神干渉が混じっていることを警戒するくらい。…………多分私に光の湾曲による視覚妨害がばれていることは分かっていて、まだ続けている。何か狙いがある……それか魔導具か)


 退いた後に地面を削りながら体勢を整えたハルの真下、そこから雷の柱が生じる。

 セージゲイズ直伝の設置罠型魔法がハルを襲う。


 一瞬の魔力放出。

 魔人としての大魔力に任せた力業。

 それでもエレクの魔法は僅かに乱れる程度。


 だが、その少しの乱れがハルの身を救う。


 すぐさま魔法を編む。

 凸レンズを模した魔法の力場と光線を複数用いて、レンズの焦点はエレクに合わせる。

 先程とは比較にならない出力の魔法がエレクを襲う。


(魔法で発生させるのは、光とレンズのみ。それが副次的に起こした現象は魔力による空間支配では搔き消せない。……でも、まだ温い)


 エレクの魔力が爆ぜる。

 目の前の魔人を大きく凌ぐ現在の魔法少女最大といえる膨大な魔力量のほんの一部を、無作為にばら撒いた。


 落雷の如き音色と共に、ハルの展開した数多の魔法が消し飛んだ。

 だが、それが狙いだった。


 敵にばれないようにゆっくりと秘密裏に編み上げたハルが『幻影フィア』たる所以。



 _________________________




 戦闘中だと言うのに意識が一瞬飛んでいた。


 エレクの眼前には眺野 明の姿が。


「――薄気味悪いのよ、人間の振りなんてしちゃって。化け物が如きがべたべたと、気色の悪い」


 その顔には嫌悪がありありと。

 だが、エレクはその様子に笑みを浮かべた。



 _________________________




 ハルが自身の魔法の完全な発動に詰まりそうになっていた息を吐きだす、その寸前に。

 世界を雷光が満たした。


「…………セージ姉の表情が雑」


 魔法を使用者の体内魔力ごと吹き飛ばした少女は一人、何よりも不快そうに顔をゆがめた。

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