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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
初めての変身

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疲れた少女と当たる打撃

 魔法局の一室に1人の少女がいる。

 さほど背は高くなく、いとも簡単に手折られそうなほど華奢な身体をしている。

 彼女は椅子に腰掛け、その両の眼は閉ざされ、頭を垂れ、両腕は身体を支えるているのか机の上に置かれている。

 加えて、赤く瑞々しい唇からは、しばしば呼気が長く吐き出されている。


 有体に言えば、疲労でぐったりして、ため息を吐いているガルライディアが室内にいる。


 では、なぜぐったりとしているのか。

 その理由は、純粋な肉体疲労及び精神的疲労である。


 特に精神的疲労が凄まじかった。

 跳び上がる角度や位置を一つ間違えるだけで、枝葉にぶつかるのだ。偶に幹にも衝突しかけた。

 ぶつかること自体は、魔法少女が常時使用している魔法でなんともないのだ。少なくとも肉体は。


 ぶつかるたびに枝の軋む音や時に破砕音が鳴り響く。

 ついガルライディアは後ろを振り返り、見てしまった。


 自身が通ったところだけ、くっきりと枝葉がないその状況を。


 ガルライディアとしては、中々に認め難い光景だった。

 が、魔法少女であることを言い訳にして割り切れればいいのだが、小学生女子にそれは無理だった。


 そんなこんなでガルライディアが何度目とも付かないため息を吐いた頃、エレクが人を伴って部屋に入ってきた。

 エレクの後ろにいるその人は、身長がガルライディアやエレクよりも高い女性である。

 ガルライディアはそこまでを認識した。


「待たせたな、赤花の子よ」


 赤花の子とは自分の事だろうかと、ガルライディアは考える。

 昨日自身の魔法少女名の由来を調べていたため、特に混乱はない。


 特に問題ない旨を伝えようとした時、エレクの後ろにいた人が手を、もっと言えば手に持っている本を振り上げていた。


 炸裂する本。前に傾くエレク。靡く()()

 ガルライディアは、今更ながらエレクの髪色が金色である事を深く認識した。

 さっきまでは暗くて気にならなかったり、疲労でそれどころではなかったために今の今まで気がつかなかったのだ。


「何をするっ」


 己の背後を軽く睨みつけるエレク。

 それに対して、背後の彼女は、


「エレク、せめて初対面の人の前でその口調はやめなさいって何回も言ったでしょう」


 エレクを咎めた。打撃も同じ意味のものだろう。


 そこまでを見聞きして、ガルライディアはあることに気がつく。

 後ろの人の攻撃が()()()()()()()()()()()()()()()魔法少女に通ったことに。


 対物結界は、ある程度までの物理的なものを拒む魔法。

 それを魔法少女は、体表に纏っている。

 しかも、結界が拒める上限が中々高く、()()()人間では、プロボクサーでさえ出来る者は少ない。


 それを易々と突破したと言うことは、彼女は普通の人間でないということ。


 すなわち、彼女もまた魔法少女だ。

読んで頂きありがとうございます。

次回漸く主人公の武器名が明らかになる(はず)

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