表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/265

成果は何処



 刺突一撃。


 伸縮自在の槍が一槍、間合いの外の魔物に迫る。

 前足を強引に割り込ませた虎型の魔物は、上体を持ち上げながら前足を無理やり持ち上げた。


 それを待っていたとばかりに、槍の長さを通常レベルに戻す。

 足を地面から離したのもあって、必然的に身体は魔物の方に引っ張られる。


 黒赤色の魔力が滾る。

 左脚が黒赤に染まり、炎のように輪郭を侵す。


「ハアッ!」


 気合一発。

 顎を蹴り抜き、前足から抜けた槍を引き絞る。


 魔力放出全開。

 ボッ、と空気が唸る。


 血色の槍が魔物の腹を抉ろうと突き進む。

 それに対して、魔物は前足を思い切り振り下ろした。


 ――ギィン


 空中で激しくぶつかり合い、火花が僅かに暗い視界を照らす。

 両者弾かれて一旦は痛み分け。


 近くにあった木が一本、余波でへし折れる。


 今は痛み分けで十分だ。


 黒赤を纏う少女は地面を蹴る。

 虎の魔物の背に手を当てる。


 それでおしまいだ。


 なんとなくノリで槍を軽く回して、先を地面に向ける。

 魔物に背を向ける。


 瞬間、魔物が弾け飛ぶ。


 僅かに血の雨が降るが、その時には彼女はその場を去っていた。


(血って養分になるのかな………?)


 結の古い友人らしき、変な思考に陥りながら。




 _________________________




 さて、ヒュアツィンテの戦い方は経験が少ない影響で、力業に尽きる。


 魔力制御は磨いているが、それは平時の時。

 基本一歩も動かずに行う時の場合だ。


 実際に戦闘行為をしながらの制御はお世辞にもいいとは言えない。


 最後の魔物の破裂なんて魔力量にものを言わせた力業の権化だ。


 そんなことをしていたら、どうなるか。

 単純だ。


「――見つけた」


 悪い(本人談)大人に食い物にされるのだ。


 背に風の羽根を展開したラークスパー。

 彼女は一応魔法少女歴15年の熟練の魔法使いだ。

 上空にいる彼女を魔力の感知のみで補足できる存在はそう多くはない。


 ラウム含めて5人はいるが。


 兎も角、ラークスパーは視力強化魔法の出力を上げながら、ゆっくりとヒュアツィンテを追う。


 もしかしたら魔人同盟の拠点が掴めるかもしれないのだ。

 慎重に動く。


 隠蔽用の特殊な魔法も使って追いかけて、遂にヒュアツィンテが消えた地点を把握。

 そこから隠蔽系の魔法を検知する。


 座標を記録する。



 ただ、生温い不安がラークスパーを襲う。


(こんな簡単に尻尾を掴めてしまうものかしら……………………)


 ここまで容易いのなら何故こんなにも時間が掛かったのか?


 魔人同盟が活発化しているから?

 それにしては魔人の出現頻度は下がった。元より人数は少ないので、そこはあまり参考にはならないが。


 魔人同盟の存在が表舞台に出た直後よりも捜査の手が緩んでいるから?

 これはあるかもしれない。少なくとも割けている人数は少ない。それが油断に繋がったのか。


「……何はともあれ、報告はしなきゃね」


 一番近い街に行ってから、清水 創美に連絡して――――、やることは沢山ある。


 ラークスパーは羽根をはためかせた。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ