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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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懐古録 Ⅲ

 跡形も無く壊れてしまっていても、記憶の中には綺麗な形で残っている。


 切っ掛けはなんであったろうか。


 常に全力な彼の姿が焼き付いたのか。

 彼の拠り所となりたかったのか。

 それとも他の何かか。


 何分20年近く前の事、明確に自身の想いの源流は覚えていない。


 でも、僅かに覚えていることもある。

 くしゃりと笑った彼の顔だけは脳裏から離れてくれない。



 _________________________




「どぉしよっかなぁ………………っと!」


 ホログラムを切り裂きながら、ファルフジウムは思い悩んでいた。

 間延びしてなんとも気の抜ける声音だが、四方から放たれるホログラムを斬る動作に迷いはない。


 ホログラム投影用の機械5つが縦横無尽に動き回りながら不規則に攻撃(代わりのホログラム)を放ってくる。


 右側から迫りくるホログラムを一歩前に出て躱す。

 それと同時に放たれた左斜め後ろからの攻撃には振り向きながら剣を振るう。


 先程躱したホログラムを放った機械と同時にそれと直角に交わるようにホログラムが放たれて逃げ道を塞ぐ。

 彼女は屈んでそれらを躱して、屈んだ瞬間標準を合わせてきたもう一つの機械からの攻撃を割と無駄なバク中で躱す。


「Braveなににしようかなぁ……?」


 彼女の魔法具『フォルテカリバーン』を用いた技は現状四種類。


 斬撃技『Brave・Blade』、右足での蹴り技『Brave・Finish』。

 そして、それぞれの強化版『Nova・Brave・Blade』と『Nova・Brave・Finish』。

 その内『Nova・Brave・Blade』だけが遠距離に高密度の魔力での攻撃が可能だ。


 今回彼女が悩んでいるのはこの間使って便利だと発覚した『Brave・Blade』を使用しての突き技だ。

 技名とは言うが、元々の四つは魔法具が勝手に音声を流しているだけでファルフジウムは名付けてなぞいない。

 それどころか、初めて使ったときから勝手に鳴り続けているだけである。


 それはそれとして、有用そうな技に名前が無いのは寂しいのだ。


 現状の最有力候補は『Brave・Strike』だが、なんかこれは蹴り技に取っておきたい気がするのだ。

 日曜日の朝からヒーローものの番組に噛り付いている身としては。


 他者から見れば心底どうでも良い話だが、彼女にとっては割と大事なのだ。


 主義的にも、逃避(・・)的にも。


 はっきり言って、技名なんて思考リソースを適当に埋める為に考えているようなものだ。

 本当の悩みは別にある。


 だが、それを口に出せる相手はいない。


 家族にも、友にも。

 これだけは話せない。


 では、どうするか。


(………………あれ(・・)、本気にしていいのかな?)


 所詮は社交辞令の一種だろうし、そもそもこれ(・・)を話していいのかも悩みどころだ。


 けれど、彼女以外に話せる相手はいなかった。


 残りの候補は小学生なのであんまり生々しい話はすべきでないし。

 そんなことを言い訳に、ファルフジウムはマギホンをタップしてアドレスを呼び出した。

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