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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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残骸

「…………魔物に群れを組ませる場合、数を絞れば強く、増やせば弱く……………………。いや、素体の魔物次第でも影響はあるか。単体で強い魔物を大量に群れに出来たら最高だけど、それはやっぱり難しい。というより、不可能に近いようね」


 山奥の薄暗い建物、その中でメモとにらめっこ状態のワインレッドのドレスの少女。

 名乗った名は魔人 ヒュアツィンテ。ガルライディア(ゆい)達のかつての友、白川 綾生その人である。


 テーブルに置いてあったコップの中身を呷って、代わりにメモをほっぽり出す。


「手詰まりね。魔物の群化はこれ以上発展性が無さそう。――となると、次は……………………」


 次は、なんだ。


 最初は単純な強化。

 次は、部位ごとの強化。

 その次は、針の射出などの性質の追加。

 そして、現状の群れの形成。


 どれもこれも現状打ち止め状態だ。


 性質の追加などは、徐々に数や追加する性質の自由度が上がったりしているし、強化系は幅が広がってはいる。

 だが、それはヒュアツィンテの魔力制御力が向上したからこそだ。


 そういうのではなく、彼女は新しい分野を試したかった。


 だが、現状良い案が出てこない。


「クリムゾン・アンドロメダのような強化と再生を出来るようにする…………? いや、あれは魔力特性に由来するものって話だし、ラウムのあれ(・・)は私が勝手にやれるものではない。……………………」


 そこまで考えて、少女は笑みを深めた。


 出来るかは分からない。

 分の悪い賭けではある。


 だが、彼女のその発想は実現できれば、可能性は無限に等しい。


 ――――それはそれとして、だ。

 久しぶりに街に行こう。



 _________________________




 ヒュアツィンテはドレスではなく、一般的な衣類に身を包んでかつて住んでいた街を訪れていた。


 帽子に伊達メガネ、普段は下ろしている髪もポニーテールに。

 これで結以外の魔法少女には殆どばれないだろう。…………ゼロ距離で注意深く魔力を探られない限りは。


 ヒュアツィンテの現状の魔力制御では、一般人っぽく、具体的には、警報はならず、離れれば分からない程度には偽装できてもセージゲイズと至近距離にいたら一発でばれる程度が精々だ。


 結には顔でばれる。

 昔から何故かいらないところで鋭かったのだ。


 こうなってから、何度もあってるので結は誤魔化せない。


 それでも、時折街を訪れている。


 懐かしさを感じるからか。

 それは完全には否定できない。



 けれど、本当は違う。


 忘れない(・・・・)ようにするためだ。


 時間が経つに連れて僅かずつ薄れていく憎悪を。

 己が思いを。

 罪を。


 だから彼女はリスクを冒してでも、かつての道を辿る。

 家には近づけない。

 うかつに思い出の場所には行けない。


 もしかしたら、誰かに遭うかも知れない。

 その時、みんなはどんな顔をするだろうか?


 本音を言えば、少し怖い。


 でも――


(もう、止まれない…………。止まってしまったら――――――)


 帽子ごしに感じる日差しがやけに眩しく感じた。

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