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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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215/265

役割

 2月第一日曜日、午前11:32。


 マギホンがけたたましく警告音を響かせる。

 本日の担当の二名が家を飛び出したのは、ほぼ同時だった。


「『その背を追え』」

「『極光チェンジ』!」


 人目につかない路地にて、変身する。


 白の閃光が奔り、僅かに遅れて黄光が煌めいた。


 建物の屋根や街灯を足場に一直線に現場へと向かう。

 今回の魔物は、街の西側から結界内への侵入を図っているもので、魔物としてのランクはB。


 数は二体。

 今日の担当のグラジオラス、ファルフジウムはどちらも戦闘経験は豊富なので基本的に問題はない。

 よって、他の魔法少女への要請は無かった。


 目標地点まで約半分となったところで合流。

 適宜魔力放出を行いながら急行。


 今回の魔物は素早いようで、マギホンに連絡が来た時には普段の街から魔物への距離の半分ほどだった。


「――見えた……!」

「こっちもいけました。なんか二体でいるの違和感あるサイズなんですが」


 一般的に群れを成す魔物は単体としての能力はかなり弱い。


 マギホンに表示されるランクは群れ全体を考慮したもので、単体としてみると2段は下がる。

 また、身体も小さいことが多いのだ。


 だが、彼女らが目視した魔物の体長は大きい。

 魔力はそれぞれCランク相当。これも割とおかしい。


「観測装置の誤作動か、見掛け倒しか、どちらにせよ我々がすることは変わりありません。ファルフジウム、準備は?」

「いけますとも。グラさん各個撃破ってことでいいっすか?」

「問題ないでしょう? ヤバそうなら耐久戦に切り替えるわよ」


 了解の意を示すように大きく頷く。

 その様子を確認して一拍、彼女は瞬間的に踏み込んだ。


 ――『Brave・Blade!』

 魔力を両足に纏めて一気に加速する。


 彼女はこれまで斬撃としてばかり扱ってきたこの技、だが、より高威力にするのならこうすべきだろう。


 左手を添え、右手は大きく引き絞る。

 右足から強化に用いていた魔力を一斉放出。

 今まで以上の出力で踏み込んで、右腕を全力で開放する。


 一撃必殺、魔石周辺部を消し飛ばす突き技。

 それはそれとして、


「…………Brave・Blade 改か、Brave・Strikeか。どっちがいいかな」


 本当にどうでも良い。


 グラジオラスは、魔物の首に横から障壁を纏わせた小太刀を突き刺して、障壁を態と無理やり破砕させる。


 体内、それも首元で炸裂した障壁によって体内をズタズタにされた魔物は一発で沈黙した。


 ラウム対策として、セージゲイズと共に障壁系魔法の新しい突破方法などを模索しているときに偶然気が付いたかなり残虐な攻撃方法だ。

 少なくとも対人戦には使えない。


 接敵時間、僅か3秒。

 結界の程近くで、結界の魔力に隠されて、魔物が結界に掛かりきりになっていればこの程度だ。

 とは言え、Cランクの魔物は新人では倒すのも困難なので、この二人だからこそ出来る芸当ではある。



「――ふぅ……………。終わった終わった」

「お疲れ様です。……ときに、ファルフジウム」

「ん? なんすか?」


 大きく伸びをして、魔石の回収に入ろうとしたファルフジウムを呼び止めた。


「受験勉強で困ったことはありませんか?」

「特には無いっすね。ちょっと詰まってたとこは、セージ姉に」

「そうですか。それは良かった。……………………」


 これは伝えるべきか、迷ってしまう。

 もしかしたら余計なお世話なのかもしれない。

 でも、これが出来るのは自分だけだ。少なくとも、ガルライディア(妹分)にはこの役割は与えられない。そして、他二人では駄目(・・)だ。


「なにかあったら、遠慮なく言ってください。私は部外者ですので」

「……うっす。なんかあったら、そのときは」

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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