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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
罪の所在

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彼女の日常

 午前5時24分、カーテンに遮られた日光が薄く部屋の中を照らすなか、ベッドの膨らみはむくりと身体を起こした。


「んんっ…………」


 大きく伸びを一つ。

 凝り固まった身体を伸ばす少女の腕が枕元へと進んだ。


 ーーピッ…………


 朝の訪れを告げようとした目覚ましの第一声が途切れた。

 どうせ目覚ましより前に起きるのに、毎日つけている目覚ましを慣れた手つきで止めた少女――結――は眠気眼のままに着替えを開始。


 クローゼットから手ぐせでスポーツウェアを取り出して、雑に着込む。

 前もってタオルを入れておいたバッグと追加の着替えを掴んで、キッチンへ。


 冷蔵庫からスポーツ飲料を一本抜き取ってカバンの中へ。

 追加の着替えは洗面所に置いておく。


 玄関を出て、朝のランニングへと駆け出した。


 均等なペースになるように意識して、朝日に照らされた人気のない道を走る。

 基本的に朝のランニングは3km固定。


 それを終えたらストレッチ。

 朝の公園にて入念に。


 帰りは軽く流すように走って、靴を脱いだら洗面所――その奥の風呂場へ。

 服を脱ぎ捨ててシャワーで汗を流す。


「――ふぅ………」


 乾ききっていない髪をタオルで押さえつつ服を着て、ドライヤーを弱めに付ける。

 現在時刻は6:15。

 流石に最大出力でドライヤーを掛ける勇気は、結には無かった。


 香織(母親)は兎も角、昌継(父親)は基本的にまだ起きない。

 起こすのは忍びなかった。

 香織は普段そろそろ起きてくる時間帯だ。


 朝ご飯になりそうなものでも何か用意しておこうか。

 そんな思考を打ち破る何かが焼ける、食欲を刺激する音。


(遅かったか…………)


 毎日のように仕事がある中、休みなく食事の用意をしてくれているのだから、せめて朝くらいは――とは思っていたが、遅かった。

 結の起きた時間は、5時半よりも早い。

 これ以上早めることは中々難しい。


 とはいえ、朝のランニング等を削るという選択肢は無い。


 如何ともし難い問題だった。


 取り敢えず、手伝いはしよう。


 結はタオルを片付けて、小走りにキッチンへと向かった。



 _________________________



 循環。

 常に全身各所に一定量を循環させながらも、何か所かだけに集中させる。


(足りない。もっと速く――!)


 加速、循環速度を2割増しに。


 ピシリ、と身体に僅かに痛みが奔る。

 だが、この程度で止めていたらいつまでも強くなれない。

 だから、まだ加速する。


 授業の合間の10分休み。

 教室移動もないので、自席で本を読んでいるふりをしながら魔力制御に励む。


「―――ーい」


 気持ち強めに肩を叩かれる。

 触れられるまで全く気が付かなかった結は、ピクリと身体を跳ねさせた。


 急加速する心臓を抑えるようにゆっくりと振り返ると、しょうがない者を見つめる陽子の瞳と目が合った。


「ごめん、なに?」

「次の国語の授業、なんか図書室に集合だと。あと、3分無いから急ぐぞ」

「ありがとう。すぐ行くよ」


 むずと荷物を雑に掴んで陽子を追いかける。


 普段はゆっくり歩いて待ってくれるが、今日は違ったことに結は気が付かなかった。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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