表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
初めての変身

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/265

深き業と遠き場所

pv数が増えてきて、嬉しい限りです。

本当にありがとうございます。

 

「我は、紫電の魔法少女 エレクトロキュート・イグジステント。雷を司る者。して、貴様は?」


 ガルライディアは硬直した。


(なんで、そんな分かりづらい感じで話すの、この人っ)

 内心、激しく動いているが。


「貴様の名を我に伝えよ、と言っているのだ」


 再び声が掛かり、ガルライディアは再起動を果たす。


「は、はいっ。ガルライディアですっ」


「ふむ、貴様が話に聞くガルライディアとやらか……。

 貴様は、何を司る者だ?」


 再起動直後、ガルライディアに追い討ちが迫り来る。


「つか、さ、どる?」


 司るとは、何かを支配下又は管理下に置く事。

 意味を考えるても、結局意味が分からないガルライディア。

 とりあえず、何か返さねばと、ガルライディアはまともな思考なしに答えた。


「いや、あの私神様とかじゃないんですけど……」


 何故そのような返答になったのか、それは本人にも理解出来ない。

 そんな発言に対する返事は、明らかな呆れを含んでいた。


「神で無かろうと、我ら魔法少女は皆それぞれ司っているものがあろうに……。何だったか、そう。貴様たちの言うところの魔力特性だ」


 そこまで言われて、ガルライディアは(ようや)く理解する。

 普通に言ってほしい、と言いたいが言っても無駄だろうと諦めかけているが。


「私の魔力適正は『収束』らしいです」


「『収束』か……。あまり聞かぬな。……まだ甘いな」


 ガルライディアが正直に答えたところ、エレクトロキュート・イグジステントは、なにやら考え込んでしまう。


 エレク(以下略)の思案は思いの外長く続き、ガルライディアがおろおろとし始めた頃。


「ガルライディアよ、今宵用はあるか?」


 突然、エレクは顔を上げ、ガルライディアにそう問いた。


「こよい」


「今宵だ。この後時間はあるのかと聞いているのだ」


 ガルライディアはそこまで言われて、漸く理解が追いついた。

 言い直すのなら、最初から分かりやすく言えないものか。

 お願いだから、分かりやすく言ってください、とここまで切実に思ったことはガルライディアの人生(12年と少し)で初だろう。

 しかし、考えても仕方がないと、ガルライディアは、宿題の有無やテストの予定などを考え、


「大丈夫です。……多分」


「重畳。では、我に着いて来い」


 言うが早いか、エレクは走り出す。


(早めにお母さんに連絡しなくちゃ……)

 そう思いながらも、ガルライディアはエレクを追って走る。


 だが、


(は、速い!エレク(この人)走るの凄く速いっ。)

 ガルライディアは、エレクに一向に追いつけない。

 それどころか、差は開くばかり。


(でも、どうして?グラジオラスさんみたいに動き回るようには見えないのに……)


 ガルライディアも決して近接型ではないが、それはそれとして、エレクの格好は、ローブに三角帽子。手には、長い杖がある。


 明らかにガルライディアの方が身軽ではある。

 身長差も5cmも無いため、(ガルライディア<エレク)歩幅の差も少ない。


 では、何の差か。

 ガルライディアは、離れ行く背を凝視した。

 その目に僅かながら、しかしはっきりと紫電が映る。


(あれは、身体の周りにある……。いや、纏っている?)

 さっき、エレクは己を()()の魔法少女と名乗った。その前に彼女は電気を、雷を操っていた。

 それはすなわち、彼女は現在魔法を使っていることを示している。と、思われる。


(魔法か……。まだ使い方知らないんだよなぁ)

 残念ながら、エレクが何をしているのか大まかに分かっても、ガルライディアには実行出来ない。


(魔力放出しか無いけど……、今までと同じようだと上に跳んじゃうよね)

 懸命に走りながら、ガルライディアは方法を模索する。


(放出する場所を変える?でも、やった事ないし……。

 足元からの放出で進むには……。前に跳ぶには……)

 そこまで考え、はっとする。


(そうか、前に跳べばいいんだから、イメージとしては、前の人に飛び付く感じでやればいいかな)

 ガルライディアは走りながら、重心を前に倒していく。

 見据える先は、遥か遠く。今もなお離れ行くその背に向かい、ガルライディアは飛び出した。










読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ