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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
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集いて砕け Ⅶ

 閃光同士の衝突。

 数秒の押し合いの後に、両者なりを潜めた。


 ように見えた。


「――ハァッ、ハッ…………」


一条乖離した紅の慟哭(クリムゾン・レイ)』と『ハルトクレーテ』の魔力砲の衝突は共倒れに終わる。


 魔力を一気に注ぎ込んだので肩で息をしているガルライディアだが、『一条乖離した紅の慟哭(クリムゾン・レイ)』はただ放つだけなら燃費の良い『起源魔法オリジン・マギカ』だ。


 一度で駄目なら、もう一度放つまで。


 だが、フュンフの方が一手早かった。


「『魔力全開・・・・。ぶち抜け』」


 フュンフも命令及び強化を先程以上に魔力を込めて、『ハルトクレーテ』に本日二度目、否、三度目の魔力砲を放たせた。


(間に合わ、ない…………)


「『起源魔法オリジン・マギカ』、『断崖絶壁毀す(ディバイン・プ)白亜の(ロテク)ーー」


 グラジオラスが躍り出る。

 前例の防御で被害を自身のみに抑え込もうと彼女は、誰よりも前に立つ。



 _______________



 一度は収まった魔力の閃光。

 けれども、それはもう一度撃ち放たれようとしていた。


「――――ッッ!!」


 己の風穴など無視して、アンドロメダは急降下していく。


「『追え』っ。三重展開『迫界』」


 一切防御する素振りの無いアンドロメダ相手に、ラウムは腹をぶち抜いた魔法を今度は3つ放つ。


 先程と同様に、大型の針が高速で引き延ばされた空間に押され弾丸と化す。


 命令を実行しようと魔物達も降下を開始するが、アンドロメダの速度にはどれも追い付けない。


 魔力を吹かして、更に加速する。

 放出された魔力に押され、軌道が逸れた針の一本がアンドロメダの左脚を抉る。


 だが、そんなもの彼女にはどうでも良かった。


「『起源魔法オリジン・マギカ』」


 地上では『ハルトクレーテ』が今にも魔力を放とうとしていた。

 ガルライディアの前に躍り出るグラジオラス。


 その姿に、アンドロメダの頬はほんの少しだけ綻んだ。


 一瞬で元の硬度を取り戻し、彼女は右腕に魔力を収束させる。


 これは、怒り。

 無力な自分と、巫山戯た世界への。


 喪失の力を以て、更なる喪失を防ぐ。

 その為の魔法。


「『総て打ち砕く(クリムゾン・)深紅の鬼哭(インパクト)』!」


 魔力を一極集中させ、圧倒的な威力で殴る。

 それだけだ。


 それだけで、『ハルトクレーテ』の魔力砲を押し留めた。


 一点に力が収束する事で貫通力に優れる『一条乖離した紅の慟哭(クリムゾン・レイ)』を収束も不十分な純粋な魔力だけで押し返した魔力砲。


 その全力を相手に、互角に持ち込んだのだ。


 全盛期の半分の力も無い存在が。


 ミシリと嫌な音が聞こえる。


(これは、保たないわね…………)


 アンドロメダは己の敗北を悟る。


 彼女は普段『潰滅』の魔力を肉体が壊れないように治療に割きながら残りを身体強化に回している。


 そうしなければ、自身の身体能力に殺されるから。


 だが、『総て打ち砕く(クリムゾン・)深紅の鬼哭(インパクト)』は魔力の大半を破壊に回す関係上、著しく身体に負荷が掛かる。


 現役当時は一度や二度の使用で壊れる身体では無かったが、今は別。


 心地良いぬるま湯に浸かり過ぎた。


 踏ん張りが効かない。

 ラウムに左脚を抉られた事が効いてきた。


 段々と押されていく。


(……これ、残るかしらね…………?)


 この壊れ掛けの身体では相殺し切れない。

 魔力砲で自身が残るか分からない。


 だから、せめて――


「結、ごめんね」

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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