歴史
「魔物は今から30年前に突然現れました。世界的には、日本が最初ですね。そのせいで、外国との関係が悪くなってしまい、未だに修復され切ってはいません」
私が子供の頃なんて本当に酷くて、外国産の物が高くて高くて、ご飯は凄い質素でね……と教師は子供時代に思いを馳せる。
それを聞いた生徒たちは、そんな教師の雰囲気から当時生まれてなくて良かったと思ってしまった。
その後も授業は続き、生徒のノートは着々と埋まっていく。
結のノートにも、
・魔物は30年前に日本で最初に出現
・最初に現れた魔物が一体目のSランクの魔物
・巨大なため、街が壊滅
・最初の五人の魔法少女は「原初の魔法少女」と呼ばれている
・原初の魔法少女全員でSランクの魔物「人滅龍・八岐大蛇」を討伐
といった授業の内容がポイントなどを含め、綺麗に纏められていた。
授業の時間が終わりに近づき、授業内容は消化し切った。
結がノートの出来に満足気な顔をしていると、女性教師は今まで以上の真剣さを含んだ表情で、こう話し始めた。
「今日の授業の内容はこの先何があっても、忘れないで」
単純にテストに出るという事ではない。
そう生徒たちに思わせたのは、何か。
さっきまで騒ついていた教室は静まり返っていた。
「魔物が現れるようになってから、今日までの30年間魔法少女が魔物を倒し、人々を守ってきた。……相応の犠牲を払って、ね」
彼女の声が朗々と響く。
「私たちが安全に暮らせるのは、命懸けで戦ってくれている魔法少女のおかげ。だから、特に女の子たちは自分が魔法少女になれるって分かったって、例え魔法少女に憧れていても、一度しっかりと考えてほしい」
そこで言葉を切り、教室全体を見る。
「そこに自分が命を懸ける価値が、覚悟があるかどうか、
立ち止まって考えて」
まぁ、他のことにも言えることだけど。と最後に彼女は戯けたように付け足した。
ちょうど良くチャイムが鳴る。
教師は帰っていった。
読んで頂きありがとうございます。
話に出てきた「人滅龍 八岐大蛇」はぶっちゃけ本編に全く関わりません。‥‥多分。