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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
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集いて砕け Ⅲ

 雷鳴が轟き、数多の球体が的確に『ハルトクレーテ』並びにフュンフの動きを阻害する。


 エレク、セージゲイズに後衛を任せて、突撃する面々。

 セージゲイズは『魔を垣間見る(スペル・スコープ)』で魔力の解析を始めた。


「『風切り羽根』」


 一人、普段はいないものがいる。

 ラークスパーは背中から魔力の翼を生やし、両手に羽状の風の刃を展開。

 空を打って、飛び出した。


 魔法少女の中でも稀有な飛行能力を十全に活かして、加速及び斬撃を見舞う。


 削がれる防御(魔力)

 けれども、『ハルトクレーテ』はその程度では何の通用も抱かない。


「ファルフジウム」

「了、解ーー!」


 加速するタイミングは同時。

 近接組み二人が飛び出した。


「『展開(エクスパンション)』」


 二人の援護の為の魔弾に紛れて、フュンフを直接狙うガルライディア。

 けれど、先程の再現が如くフュンフにまで及んだ魔力の壁に阻まれる。


(前の反応からしても、魔物側が作ってる感じだな。魔人はただ乗っているだけ……。じゃ無いよねぇ…………)


 それは希望的観測が過ぎると言うもの。

 だから、もっとやる。


 カチリとセーフティにあるスイッチを切り替えた。


「『貫通ペネトレート』」

「――チッ…………!」


 収束魔力弾を利用した貫通特化の高速弾。

 三度フュンフを狙った魔弾は魔力壁を強引に突破して、軌道が捻じ曲がりながらもフュンフの腕を削ぐ。


 初のまともなダメージ。

 フュンフの注意がガルライディアに向く。


 なので、今度は普通に『貫通ペネトレート』を連射、魔力を抑えてブラフとする。


 エレクの雷電とセージゲイズの火炎も『ハルトクレーテ』に襲い掛かり、防御を余儀無くされる。


「ゼェアァァッ!」

「ハアァッ……!」


 その瞬間に、グラジオラス・ファルフジウム両名は懐へと身を投げていた。

 同時に魔力を込めた斬撃を叩き込み、その巨体を僅かに揺らす。


『――全然解析が進んでいないけれど分かったのは魔物の魔力密度が尋常では無いこと。恐らく私達で言うところの特性がその方向ね。グラジオラスよりもガルライディアに近いわ』


 セージゲイズからの『念話』で伝えられた情報。

『ハルトクレーテ』の魔力自体は強固では無いが、密度のゴリ押しで圧倒的なバリアが成立しているのだ。


『ハルトクレーテ』の魔力特性しか分かってはいないが、彼女らにとって今はそれで十分だった。


「『起源魔法(オリジン・マギカ)』」


 上空、そこは彼女のテリトリーだ。

 魔翼を大きくはためかせ、彼女は己の願いを顕現させる。


「『不陸神居(ふりかむい)』――!」


 灰色の翼は急激に大きくなり、その魔力は巨大な鳥をそこに表す。


 真上からの高速の突進。

 本来の使い方とは異なるが、それでもこの魔法はラークスパーの願いの証だ。


『ハルトクレーテ』の上に立つフュンフを圧し潰す。


「守れ、『ハルトクレーテ』ェ…………!!」


 軽薄な態度が完全に剥がれ落ち、常時纏っている魔力壁の強化を『命じる』。


『ハルトクレーテ』に強制された内容は、フュンフの保護だ。

 必然的に魔物本体の防御は手薄になる。


「『徹甲榴弾(アーマーブレイク)』」

「『弾け舞う小火(バースト・フレア)』」


 ガルライディア第二の新魔法『徹甲榴弾(アーマーブレイク)』。

 物理的・魔力的な装甲の厚いもの用の装甲を貫きつつ炸裂する凶悪な魔弾。


 彼女的には対人使用だけは避けたい代物だが、今回ばかりは有効なのだ。


 防御を打ち砕く二つの魔法、それが同時に『ハルトクレーテ』に痛撃を加える。


「奔るは迅雷。響くは豪雷。万象雷墜、全てを焦がせ」


 紫電一閃。

 瞬く間に、『ハルトクレーテ』の動きが滞る。


「――潰、れ、ろォォオォォォッッーーーー!!」


 絶叫するラークスパー。

 魔力を全開で魔法に回す。


 ビキビキと強固な魔力壁が軋む。


 一筋大きく罅が入る。


「『散らせ』」


 けれども、ただ一言で。

 一切合切全てが吹き飛ばされた。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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