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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
黒か花か

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黒花 Ⅲ

 灯火に照らされて、エレクは鉛のような身体を持ち上げる。


(……ずっと、一人だと思ってた。…………でも、)


 ――見てくれている人がいる。


 ならば、立ち上がれる。

 己の願いの最果てに仲間がいるのだから。


「――セージ姉、ファル姉……ごめん、手伝って。私の……過去の、清算を」

「ファル姉と呼ばれることの違和感が凄いけど……当たり前だよ、私の魔法はそのために」


 徐々に鮮やかさを取り戻しつつある紫電をばちりと鳴らして、エレクの視線はラウムに向く。

 横に並ぶは、ファルフジウム。


 そして…………


「エレクがしたいのでしょう? だったら私達は全力で手を貸すわよ。まあ、それはそれとして、家飛び出してきたら揃って怒られましょうか」

「――――うん」


 例え何があろうと、この二人は共にいてくれる。

 その思いがエレクの身体を衝き動かす原動力となる。


 迫る衝撃波をいなし続けながら、状況整理を行う。


『私が見た限り、相手の魔法は空間干渉系。今の所魔法が脆い(・・)以外の弱点が見つかっていないのが、鬼門ね』

『セージ姉の言う通り、空間干渉。……ラウム――敵の強みは魔法発動速度と、その制御力。……弱点は、魔力の乱れで簡単に魔法が崩壊することと、それによって空間干渉での直接攻撃が魔法少女《私達》には出来ないことと、消耗の激しさ。…………でも、魔力量的に持久戦は、不可能』

『一気に崩すしか無いのかぁ』


 エレクが動くようになったために、セージゲイズはラウムの魔法の解析に脳のキャパを割けるようになった。ファルフジウムは強化され続けた身体能力を遺憾なく発揮し、一気に距離を詰めていく。


 空間が幾重にも歪む。

 けれど、エレクはそこに金色を捉えていた。


「奔り狂え」


 端的に的確に。

 言の葉に支えられた雷鳴は、寸分の狂いなくラウムの干渉を破壊していく。


 ばちりと瞳から紫電が零れ落ちる。

 その眼には、魔力の流れがはっきりと映っている。


 色彩魔力の保有者は特性として魔力に対する特別強い感受性を持ち、また属性に沿った方向性に特化している。とは言え、方向性は魔力由来であって、感受性は身体機能だが。

 エレクの保有する雷は、動体視力特化。

 例えどれだけ速かろうとそれが魔力である限り、見失うことはない。


 雷撃に追従する形で、ファルフジウムは近接距離(クロスレンジ)に入り込む。

 振るわれる剣が空間断絶結界に触れる度に、一瞬だけ境界が揺らぐ。


 ファルフジウムの纏う膨大な魔力と『累加』の性質に魔力が乱され、魔法が不安定化しているのだ。


「――チッ…………」


 ラウムは堪らず魔法を展開する。

 それが火属性のものだとセージゲイズは理解した。

 だが、魔法も理解も無意味だった。


「ラアァァッ――――!!」


 もう一閃思い切り魔力を込めて振るう。


 ラウムは魔法に魔力の制御を割いた。ファルフジウムは魔力を込めた。

 結果、空間断絶は僅かな綻びを見せた。


 慌てた様子でラウムは結界を安定させる。

 だが、それよりも一瞬早く電光が瞬いた。


 雷の色彩魔力の方向性は一重に速度だ。

 寧ろ速度だけだ。


 だが、その速度はタイミングさえ分かれば、ラウムの30年前当時からエレク(ダイナ)を超える速度の魔法発動にも対応可能だ。


 雷に焼かれて、結界が完全に消滅した。


「『弾け舞う小火(バースト・フレア)』!」


 魔力の僅かな隙間を縫う完璧な魔力制御で結界の中に魔法を放り込み、瞬間起爆。

 ラウムが魔法に対処するよりも早く彼女の身を焼き焦がす。


「アアアァァアア――――」


 全身隈無く強火で焼かれ、流石に苦悶の声がラウムから発せられた。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


今回の話、今週一高いテンションで描きました。

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