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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
黒か花か

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邂逅の光と火 Ⅰ

「『連装魔力弾マジック・バレル』」


 六発の魔力弾が空を切る。

 魔力光的に視認性は最悪クラスだが、魔に関係する者にとっては魔力自体を感知する為にあまり関係がない。

 放った魔力弾自体も破壊力はそう高くはない。


 対する魔物も、全弾直撃した現状で、少しの間動きを止めるだけに留まった。


 だが、それらはただの布石に過ぎない。


「『神火の戒めブレイジング・チェイン』!」


 ジャラリと金擦れの音が、静謐な夜に僅かに響く。

 魔物の全身に絡みつき、纏った火炎が魔物を焦がす。


 魔力を練り上げ、次の魔法を致命の一撃となす。

 魔法少女セージゲイズの保有する魔法の中で、最大の瞬間火力を持つ魔法がその手に生じた。


「『弾け舞う小火(バースト・フレア)』」


 放たれた超圧縮の火炎球。

 それが一瞬で、魔物の下に辿り着く中、付近のビルの影から一つの光が飛び出した。


 それはそれとして、セージゲイズの必殺の一撃は容易に魔物の身体に入り込み、内部から吹き飛ばした。

 火の粉が、少女の冷淡な横顔を赤く照らす。

 なお、この魔法は、死骸の除去が面倒であるために、魔法局の一部部署からは大変不評である。


 さて、魔物討伐を終えた彼女は、視線を後ろに向けながら、話しかけた。

 彼女の推測通りなら、魔法局側としては接触したい相手に対して。


「……ファルフジウムさん、で合っているかしら?」

「オッケーですよ。ご存知黄煌(おうこう)の魔法少女 ファルフジウムでっす」


(口調は軽い……。けれど、こちらが気が付いていることに驚いていなかった事も踏まえると、才能のあるルーキーという線は消えたわね)


 受け答えの最中、セージゲイズは対象、ファルフジウムの分析をする。

 ファルフジウム、彼女はおそらくある程度の期間魔法少女として活動しているはずだ。

 だが、まだ魔法局側は情報を得られていない。


 魔法局間での情報共有が滞っている理由は簡単だ。

 メンツの問題だ。

 単純でありながら、難しい問題ではあるが。


 魔法局支部同士でも、否、立場の近い組織同士だからこそか、メンツ的問題があり、支部によっては魔法局に所属していない魔法少女――以下、非所属の魔法少女――を目の上のたんこぶと考えているのだ。


 また魔法少女の監督役である清水 創美が調べたところ、以前ファルフジウムが活動していた所の魔法局支部はその典型であったとか。

 そのために、ファルフジウムの活動について詳しく分かっていない。


「……少し、良いかしら…………?」


 情報が欲しい。どんな些細なことでも構わない。

 何かしら、彼女を魔法局に引き込む手段となり得るものを。


 少なくとも非所属である理由が知りたい。

 どうしようもない部分はあるが、出来るのなら引き込みたい。それがセージゲイズ、清水らの総意だった。


「個人情報とかは嫌ですよ?」

「安心なさい。そんな事を聞く気はないわ」


 些か露骨に安心した振りをするファルフジウムを視界に収めながら、セージゲイズは極力刺激しないように、努めて淡々と質問を投げかけた。


「……あなたの戦う理由を教えて欲しい」

「………………ちょっと、ね、目標みたいなのがあって、その為にやってる感じです、はい……」


 言いよどみながら、何とも曖昧な表現をするファルフジウム。

 セージゲイズとしては、話す気が無いのが分かっただけで収穫ではある。


「何ていうか、なりたい自分?になるために、やってる、が近い気が…………」

「……ああ、なる程。分かるわ、私もそうだし」


 この二人が戦う動機は割合と近い。

 その動機に対して、手に職をつけるか否かの選択があっただけとでも言うべきか。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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