Shock and Sick
連投
朝日が薄く差し込む一室のベッドに結が横たわっている。
彼女は肩口程の栗毛を枕に広げ眠っている。
彼女の寝具、より正確には部屋全体が白と淡い赤で構成されている。
時計が午前六時を示すと同時に電子音が鳴り響く。
「……ん、んぅ……」
結が言葉にならない声を上げる。
徐ろに枕元に片手を伸ばす。
当たりを付けて目覚ましを止めた。
結は目を何度か瞬かせる。
そして、ベッドの上で上半身を起こそうとする。
「あれ……?」
けれど、やけに起き上がり辛い。
普段よりも重い身体をなんとか持ち上げる。
今日は、六月中旬の水曜日。
当たり前だが、結は学校に行く日だ。
結はベッドから脚を下ろし、立ち上がる。
その時、結を目眩が襲う。少しふらつく。
(そんなに疲れてるのかな?)
不思議に思いつつも、服を着替えて、自室を出る。
階段を降りて、リビングへ向かう。
しかし、足元が覚束ない。
リビングからはテレビでも付いているのか物音がする。
結はリビングのドアから顔を覗かせる。
そこには、両親の姿があった。
いくら忙しくしていると言っても、朝六時台は家にいる。
香織は、朝ご飯の準備。昌継は朝のニュース番組を見ている。
「おはよう……」
結の声からは明らかな疲労が感じられた。
両親も結が起きて来たことに気づき、口々に挨拶をした。
「……結、体調悪い?」
香織は結を見ながら、心配そうに言った。
昌継も娘の様子に気が付いたのか、香織と同じような顔をしている。
結は見るからに体調が悪かった。
顔色は悪く、立っているだけでも時折ふらついている。
「う、うん。多分大丈夫だよ」
そう言いつつ、結の視線はテレビへと吸い込まれた。
番組は周辺地域のニュースをまとめたもの。
そこには、『新たな魔法少女、現わる。』の文字と魔物と対峙するガルライディア、ようは結の姿が映されている。
「いぃっ!」
結はそれを見て奇怪な声を漏らす。
途端襲い来る頭痛と再発する目眩。
揺れる視界。それに伴い倒れ込む。
近づいていた両親が受け止めてくれなければ、頭を打っていだろう。
「結!だ、大丈夫⁈ねえ、結!」
香織の叫びは届かない。
否、届いても答えることは今の結には出来ない。
昌継が運びやすいように結を横抱きにするのを感じながら、結は意識を手放した。
お読みいただきありがとうございます。
今更ですが、魔法少女達の武器にはそれぞれ名前があります。登場までもう暫くお待ちください。




