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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
黒か花か

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共同魔法 Ⅰ

「今日の訓練は、二体二のチーム戦にしましょうか」


 始まりは唐突だった。偶然の重なりとも言う。


 偶々魔法少女四人が、同じ日同じ時間に訓練室を訪れていて、特に消耗らしい消耗もしていなかった。


 その提案は、明からされたものだった。


 彼女としては、これから『魔人同盟』なる組織(or集団)が台頭してくる場合に備えて、対集団戦闘に慣れておきたかったのだろう。

 また、明と鳴音との連携は兎も角として、その他のメンバー同士での連携に難がある為、そこを今のうちに鍛えたかった。


 という訳で、公平性確保の為に即席のあみだクジを用意して、4人を2チームに分ける。


 その結果、初戦は、ガルライディア(ゆい)グラジオラス(すみこ)エレクトロキュート(なお)(以下略)・セージゲイズ(あかり)の組み合わせとなった。


 初戦から、最悪の組み合わせという他無い。

 確率的には1/3なので、どうしようもない面はあるが。


 最悪というのは、エレクとセージゲイズの連携は既に十分であることが一つ。

 今回の訓練で最も重要な点は、ガルライディアと他との連携を密にすることである為に、最も連携が上手いチームと初戦からやるのは、困難である点が一つ。



 ただし、決まったものは仕様が無い。

 チーム毎に、3分の打ち合わせを終えて、訓練室にて5mほど離れて、向かい合う。


『これより訓練を開始します。5カウント』


 訓練用の機械から、音声が流れる。


『――5――4』


 少女たちは、各々の魔法具を構える。

 二丁拳銃『フライクーゲル』、二振一対の小太刀『唐菖蒲』、長杖『ケラウノス』、本『セファー・ラジエール』。


『――3――2』


 それぞれの相棒に魔力が籠もる。

 色鮮かに輝き、一つ一つが絶殺の武装と化した。


『――1――0』


 訓練が始まった。


 ガルライディア、グラジオラス両名が同時に飛び出した。

 彼女らにとって最も厄介なのは勿論、エレク、セージゲイズの遠距離攻撃だ。


 グラジオラスは遠距離攻撃のようなものはまともに持ち合わせていない。全く無い訳ではないが、敵二人に通用するようなものでも無い。

 ガルライディアは遠距離攻撃がメインであるが、二人の魔法を同時に対処出来るほどの実力が無い。

 そして、エレクは現状のガルライディアに負ける程に、近接戦闘が弱い。


 ならば、距離を詰めるのが最善だ。


 だが、そんなものは全員が分かっている。


 セージゲイズが自身らの周囲にいくつもの魔力弾を旋回させる。

 牽制と防御兼用のそれの隙間から、狙い澄ましたような雷撃がガルライディアに奔る。


「『貫通(ペネトレート)』!」


 ガルライディアは魔弾を以て迎撃する。

 紫電と閃光は、互いに惹かれ合うかのごとく衝突して、魔力を散らす。


「『散弾(ショット)』」


 続けて、無差別に魔弾をバラ撒く。

 大半がセージゲイズの魔力弾に拒まれたが、いくらかは通り抜けて、エレクの頬のすぐ横を掠っていく。

 瞬間、グラジオラスは『白亜』を自身の前に展開しながら、セージゲイズ目掛けて突貫する。


 セージゲイズは近接戦もある程度熟せるが、流石にグラジオラス(専門職)相手では比べるまでも無い。


散弾(ショット)』によって、少々層が薄くなった魔力弾を正面から、突破していく。

 しかし、それを黙って見ているだけのセージゲイズではない。


 彼女は五歩程エレクから離れて、掌に用意した火炎を放射する。

 放射系の魔法は燃費が悪いが、簡単に範囲攻撃を行えるために重宝される。


 火炎は地を這うようにグラジオラスに襲い来る。

 グラジオラスの魔力特性『堅固』は魔力を纏うだけで、そこらの障壁をも超える強度を得られるが、それは炎熱に強いという事ではない。

 ただし、それは障壁を展開しなければ、だ。


「『白装束』」


 グラジオラスは新たな魔法を発動した。

 彼女の全身を、障壁が鎧のように包み込む。

 その様相は正しく、戦装束のそれであった。


 迫りくる魔法の尽くを対処しきって、ついにクロスレンジに突入した。


「――ふぅ……!」

「ハアァァ!!」


 白刃と炎を纏った本が衝突する。

 何度も打ち付け、けれど、両者引くことは無い。


 千日手のような状況下、それを破ったのは――


「雷鳴よ、響け!!」


 両手からそれぞれ別の相手に魔法を放つエレクだった。



お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


年末です。

一年間ありがとうございました。

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