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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
黒か花か

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探せ、原因を

「――陽子ちゃん、どう思う?」

「この服は、動きづらそうだな」

「……ごめん、聞き方が駄目だった」


 休日に、秋物の洋服を探しに来ていた謡と陽子――結と最も仲の良い二人(結の友人と言えるのは、この二人のみだが、敢えてそう表現する)


 彼女らの、少なくとも謡から切り出した(出そうとした)話題は、服についてでは無い。


「最近の結ちゃん、可笑しくない?」

「前ほど調子崩しては無いのは、良いけど、まあ」


 割と単純な思考をしていると思われている陽子も地頭はかなり良い方だ。

 勉強は特にしてないから、テストの点は、結・謡に一歩劣るが、頭の回転という面では、3人の中でも、トップだったりする。最近になって、一名が身につけた魔法(チート)を考慮しなければだが。


「なんか悩んでんのは、確かじゃねえの?」

「だよねぇ……。陽子ちゃん、思い当たるふしはある?」

「無い。――そっちは?」


 陽子は、一拍の考える素振りを挟むことも無い。

 謡も少しばかり思案してから、首を振る。


 結局、彼女らは特に何を買うこともなく、衣料品店を後にする。

 未だ強い9月の日差しが少女の肌を刺す。


「結ちゃん自身に聞くしか無いのかなぁ…………」

「私らが知るのならな。でも、結は話したがらねえだろ」


 解決のために手を貸したい謡も、どちらかと言えば、傍観側にいる陽子も、結が抱え込む質であることは、重々承知。けれど、そう安安と聞き出すに出来ない事情がある。


「――つか、魔法少女(あれ)関連だったら、どうするんだよ?」

「ねえ……。お話を聞くくらいしか出来ないよね」


 結は魔法少女。言うまでもないが、一般的な小学生女児とは何もかもが異なる。

 それらを完全に理解するなど、それこそ同じ魔法少女でないと最早論外に等しい。

 結局、ただの少女達に出来ることは少ないのだ。彼女たち自身が思っている以上に。



 _______________




「――ちょっと、コンビニ寄っていい?」


 謡がそう切り出したのは、空気を切り替えるためだろうか。それとも、実際に用があったのか。

 その是非は兎も角として、陽子としても断る理由はない為、二人は視界に入ったコンビニに足を進めた。


「コンビニって、あんまり涼しくないよね」

「入口だからだろ」


 寧ろコンビニは、冷房が効き過ぎている場合さえある。

 二人は、それぞれの目的の為に、どちらとも無く動き出した。


 謡は、本のコーナーに。

 陽子は、飲み物を選んだ後に、アイスや菓子類のあたりに。

 この二人がコンビニに入る際の主目的が良く分かる行き先であった。


「――謡、何見てんだ?」


 炭酸飲料とアイスという、本日の夏のような気温において、耐久性が不安になる二種の嗜好品を手に陽子は歌いの元へと向かった。

 謡は、当初のまま、本を見ていた。


「これ、毎月買ってるんだけど、今月まだだったからね」

「『月刊魔法少女 No.45』? いつものか」

「……うん。あと、これで分からないかなって…………」


『月刊魔法少女』。

 それは、文字通り月毎の魔法少女に関する出来事を纏めた雑誌である。

 謡がこれを毎月購読しているのは、陽子も良く知っている。

 だが、今月に限っては、それだけでは無いのだろう。


「結の悩みの種がか?……それ、全国単位だろ? この街の出来事がそうそう載るとは思えないんだが」

「それはそうだけど。……まあ、いつも買ってるから、探してみる程度だよ」


 謡が先んじて、レジに向かっていくのを見て、陽子はアイスをもう一つ引っ掴んで、友に追従した。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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