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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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家族の軌跡 Ⅴ

 殺到する黒弾。それはさながら軍勢の如く、次から次に迫ってくる。

 それらを潰すのは、紅の閃光と純白の残光。


 子供園を背に、ガルライディアとグラジオラスは圧倒的防衛戦を強いられていた。


「あらあら、足掻くではありませんか。自分の身だけ守れば、少しは楽になるかも知れませんわよ?」


 煽るツヴァイ。

 彼女は、魔法少女らが子供園を守らざるを得ないと分かっているからこそ、黒弾を広範囲に撒き散らす形で、迎撃を余儀なくさせている。

 なお、仮に子供園を見捨てても、そちらを狙っていた黒弾が集中するため、楽になることは絶対にない。


 黒弾が5つ同時に発射される。

 ガルライディア一点狙いのそれは『爆裂(ブラスト)』では迎撃できない。

爆裂(ブラスト)』は魔弾を着弾時に爆発させる火魔法であって、発生する衝撃は爆風そのものだ。

 当然、セージゲイズが良く用いる魔力弾に比べて、効率はずっと悪い。


 だからこそ、ガルライディアは先日の猿型魔物との戦いでは、『爆裂(ブラスト)』では無く、ただの魔弾を選択したのだ。(勿論、速射性能の差もあるが)


 兎に角、そのような経緯からガルライディアも貫くためでなく、押すための魔弾の習得をした。

 それが――


衝撃(インパクト)!」


 放たれた魔弾は、迫る黒弾の一つと正面衝突する。

 瞬間、爆発的に広がる紅。

 それは黒弾を全て飲み込んで、吹き飛ばす。


 魔法の迎撃方法が正面から威力で勝つだけな訳がない。

 魔法、特に魔弾等の魔力を収束させて放つものは魔力の塊だ。その魔力の形を保たせる力は、使用者次第ではあるものの、その魔法の耐久を超えた魔力的衝撃を与えて、魔法を崩壊させるといった手法で魔法を迎え撃つことは可能であり、現にガルライディアが取った方法はそれだ。


衝撃(インパクト)』を連射して、強引に隙間を作る。

 そこに身体を捩じ込むグラジオラス。

 防衛を相方に任せて、突撃する。当然黒弾が数多迫る。


「『巡る白亜』」


 障壁魔法を発動する。グラジオラスの基本的な障壁魔法『白亜』のアレンジ版。

 障壁の形を錐型にして、更に障壁を回転させる。

 その障壁は、迫りくる飛来物を躱すためのもの。


 グラジオラスを襲った黒弾の多くは『巡る白亜』に拒まれて、彼女の身体には掠りもしない。

 ただし、彼女の後方には逸らされた大量の黒弾が叩きつけらることとなった。

 また、後半の黒弾は魔法が強度的に保たず、仕方なく切り刻む。


 黒弾を放つツヴァイに接近する。

 迎撃として黒弾が殺到する。


「――甘いのよ、認識が」


 ツヴァイとしては、敵の魔法に当たるなんて論外も良いところだ。

 けれど、そこは経験の違い。

 いくつもの戦いを制してきたグラジオラスにとっては、怪我や迫る攻撃さえも武器である。


 魔力放出を以て、最大まで加速する。

 黒弾が地を穿った時にはそこに少女はいない。

 しかし、彼女を捉えた攻撃は一つだけあった。


 それはグラジオラスが当たるようにしたものだが。


「シャアアアアァァァッッーー!」


 左肩に黒弾が直撃する。黒弾はガルライディアの魔弾よりもかなり直径が大きい。だからこそ、貫通力は乏しいが、ノックバックは大きくなる。

 引き絞った右腕(・・)。黒弾の衝撃に合わせて、再度の魔力放出。

 白刃に、瞬間的に悍ましいまでの加速を施す。


 その一撃は、たしかにツヴァイの身体を突き刺した。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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