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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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束の間の休息又は偵察

「――それで、ヒュアツィンテ様、どうして即時襲撃を行わなかったのですか?」


 猿型の魔物の公園への出現から一夜明けて、ツヴァイは前を歩くヒュアツィンテに問いかけた。

 ツヴァイとしては、ヒュアツィンテの目的は実験以前に魔法少女を潰すことだと考えているため、消耗している昨日を狙うべきであったのでは無いか、という事を問うたのだ。

 その問に含まれた真意を察したヒュアツィンテは、心外そうに顔を歪めた。


「今回の目的はあくまで、実験よ? 相手の力が万全でない時にやる訳が無いでしょう。……後は、こちら側の問題」

「と、おっしゃいますと?」

「あなたに引き離して欲しい魔法少女のグラジオラス、ガルライディアを引き付けるのに、必要なものを確かめておくべきだとは思わない?」


 会話もそこそこに、彼女らは目的地に行き着いた。


「ここは……」

「ここは、まあ孤児院よ。グラジオラスが育った場所。そして、ガルライディアが最近通い詰めている場所」


 幾人もの子どもが庭を駆け回っている。

 時折泥だらけになった子供も混じっており、走る度に泥が飛び散っている。


「不愉快ですわね」

「…………そうね」


 ツヴァイの発言に遅れて同意を示す。

 けれども、彼女らが不愉快に思った点は異なる。


 ヒュアツィンテからすれば、孤児院の子供達とは自身の生き鏡だと言える。

 何かしらのハンデを背負った者、その姿が嘗ての自身を彷彿とさせる。


 二人が暫く双葉子供園を眺めていると、少女が一人外に出て来た。

 ショートボブの髪を短く纏めたその少女は、外で遊び回っていた子供達を連れて、建物内へと戻っていった。

 その姿をじっと見つめるヒュアツィンテ。


「ヒュアツィンテ様、どうかされましたか?」

「……。いえ、何でも無いわ。先っき出て来た奴がガルライディアね」

「一般人にしては、魔力が多いとは思いましたが……、魔力の隠蔽は中々のようですね」


 ヒュアツィンテは度々街を訪れており、魔法少女たち全員の姿を生身で捕捉している。

 その後、グラジオラス(守美子)の姿もツヴァイが確認できたところで、子供園を後にする。


「決行は明後日よ。その頃には魔法少女達の魔力が全回しているはずだわ。その日の昼には仕掛けるわよ」

「承知しました」


 実験という名目で、各々の目的を果たすべく彼女達は街から飛び立った。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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