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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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不穏な影 Ⅲ

「――これ、我よりも火力高くないか……?」


 現場に着いて、ガルライディアと魔物との戦闘を一瞥したエレクは、半ば絞り出すようにそう述べた。

 彼女らの眼前では、数え切れない程の紅の閃光が飛び交い、魔物を強引に押し留めている。


「いえ、あれはガルライディアが消耗度外視で魔弾を撃っているから出来ることなので、基本的にエレクの方が火力が高いでしょうね」

「そうね、『フライクーゲル』以外から魔力が殆ど出ていないし、割と消耗しているわね」


 エレクに慰めを入れながら、3人は戦場に降り立った。

 すかさず、突貫を開始するグラジオラス。


「ゼエアァアッ!」


 ガルライディアの魔弾が止んだ一瞬の隙間に身体を捩じ込んで、そのまま魔物を斬りつける。

 その時には、セージゲイズ、エレク両名は、ガルライディアに話しかけていた。


「お疲れ様。足止めしてくれてありがとう。後は私達がやるわ」

「セージゲイズさん、エレクさん、えっとお願いします……?」


 何故か疑問形のガルライディアの返答。

 グラジオラス、セージゲイズ、エレクの3名が一緒に行動していることが珍しかったからに違いない。

 厳密には、セージゲイズとエレクがコンビでいる印象が強いのだろう。


「任せておけ。――ククッ、滾るぞ」

「……あの、セージゲイズさん、何でエレクさんこんなにテンション高いんですか?」


 眼光鋭く魔力が紫電となりて、周囲を焦がす。

 そんなガンギマっているエレクが不思議でならない。

 この人こんな戦闘狂の人だっけ、と。


「どっかの誰かの弾幕を見たからね。ほっとけば勝手に大人しくなるわよ。『魔を垣間見る(スペル・スコープ)』」


 会話もそこそこに、魔物を調べだす。

 ガルライディアがつられて視線を向けると、そこでは魔物の突進を障壁などで妨害しながら、切り裂いているグラジオラスの姿があった。


「シャアアァァアアッッ!!」


 ダンッ、と地面が放射状に罅割れて、グラジオラスの振るう白刃は、魔物の膝付近を深々と斬り抉る。


「エレク!」

「応とも! 霹靂よ、穿て!!」


 細く研ぎ澄まされた紫電が空を切る。

 紫電は、魔物の顔面に叩きつけられ、対象を焼く。

 紫電を収束させることで、威力の向上と、フレンドリーファイアの防止を同時に行った一撃を見た瞬間、グラジオラスは斬撃を追加する。


 ついで、『魔を垣間見る(スペル・スコープ)』による解析結果が出た。


「グラジオラス、エレク! 魔物の魔力は未だ6割は残っているわ! 短期決戦で決めるわよ!!」


 言うが早いか、セージゲイズの周囲を20近い魔力塊が旋回を始める。

 グラジオラスが純白を噴き上げて、エレクが紫電を広げていく。


 初めに、グラジオラスが突撃する。

 魔物の攻撃を受け止めて、『白縛鎖』で拘束する。

 そのまま、魔力放出を用いて一回転からの踵落としを頭蓋に叩き込む。


 次に、セージゲイズが旋回させていた魔力塊を連続して叩きつける。

 魔物の纏っている魔力を引き裂いて、魔物の防御を失わせる。


 最後にエレクが魔力を滾らせる。


「『起源魔法(オリジン・マギカ)』」


『ケラウノス』に紫電が集い、バチバチと殺意が膨れ上がっていく。

 黄昏を越えて、暗くなりつつある空を紫光が照らす。


「『悉皆還す赫灼(エレクトロキュート)たる霹靂(・テンペスト)』!!」


 雷光が瞬き、魔物を焼き尽くした。



 ________________




 闇夜に二人の女性がいる。大型の魔物(・・)の背に乗った二人は、地上のある4名の少女たちをじっと見つめている。


「先程の彼女たち、やはり魔法少女でしたか」

「そうよ、ツヴァイ(・・・・)。見て分かったと思うけれど、彼女たちは全員が集まるととても編成が良いのよね」


 答えた方の女は忌々しげに4人を見ている。

 近距離専門、遠近両用、遠距離火力担当、遠距離支援(近距離可)と驚くほどにバランスが良い。


ヒュアツィンテ(・・・・・・・)様が、分断をするとおっしゃられた理由が良く分かりました。……それで、私は誰を足止めすれば宜しいのでしょうか?」

「刀使いと銃使いの二人かしら? 他の遠距離担当で実験したいのよ」


 少し間を置いて、ツヴァイと呼ばれた女性は、訪ねた。


「今回の魔物はただ純粋に魔力を上げただけよ。次のは、ちょっと違うわよ?」


 自信ありげにヒュアツィンテは微笑んだ。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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