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隋紀七 大業12(616)年 (11)
(東郡に属する)韋城(県)の人翟讓は、東郡の法曹(司法の役人)であるが、事件によって有罪となり、斬首の判決が下った。
しかし看守の黄君漢は彼の驍勇を非凡なものと思い、夜中密かに翟讓に言った。
「翟法司は、天命と世の移り変わりをそもそも知るべきであるのに、どうして大人しく死を獄中で待つのか!」(待つべきではない!)と。
それに対し翟讓は驚喜して言った。
「讓は家畜小屋に閉じ込められた猪であり、死ぬも生きるもただ黄曹主(曹主、牢獄の管理責任者)の命ずるままに!」と。
その言葉を聞くと黄君漢は直ちに翟譲の枷を外して彼を牢獄から出した。




