隋紀七 大業12(616)年 (4)
煬帝は近臣に群盗の状況を問い、それ対して左翊衛大将軍の宇文述は答えた。
「段々少なくなっています」と。
煬帝はさらに宇文述に問うた。
「従来と比べてどれほど少ないのか?」
宇文述は答えた。
「従来の十分の一にも及びません」と。
そしてちょうどその時納言の蘇威が、その場から少し離れて柱に隠れていたので、煬帝は蘇威を呼び前に来させて、彼にも群盗の状況について質問した。
彼は答えた。
「それは臣の管轄するところではありませんので、群盗の数は存じませんが、ただ群盗が次第に近づいて来ていることを憂慮しております」と。
それに対して煬帝は言った。
「卿は何を言っているのか?」と。
さらに彼は答えた。
「以前賊は長白山に拠っていましたが、今は(煬帝等がいる)東都(洛陽)の近くの汜水におります。
その上かつての租税や労役に従事した成年男子達は、今皆どこにいますか!(どこにありますか!)
またどうしてその者達が皆変化して、盗賊にならない事がありましょうか!(皆盗賊になっています)
そして最近、賊の状況を上奏する様子を見ておりますと皆事実を述べないので、それによって賊を平定するための計略を誤らせ、その結果時を置かず群盗を消滅させる事が出来ないのです。
さらに以前雁門城において、陛下は遼東征伐の停止をお許しになられましたが、今再び遠征のために徴発をなされれば、賊をどうして平定することが出来ましょうか!」(平定することは出来ません!)と。
だが煬帝は彼の言を喜ばず蘇威との話をやめた。




