表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/27

「『ぬう坊』がイジメられている!」 (4)

 いつもの調子で、

傍若無人を働いてみたけど、

冷静に成らざるを得なかった。


 さすがに、二人を相手に喧嘩するのは、無謀だ。


 中二の時なら、

楽勝で勝てたと思うけど。

中三になって、

ガリ勉君に転向していたから。


 『ぬう坊』と一緒に、黒板の前に立っていた二人の内、

一人は、

ただの不良だから、どうって事無いが、

もう一人が。


 バスケット部の奴で、体も大きいし、身体能力が高い。


 この時は知ら無かったが、

この『何故? 此処に?』は、何もかもが揃っている。

勉強も運動も出来るし、顔が良い。背が高く、スラっとしている。

そして、特にメンタルが強い。気合いが入っている。


 さて、

コイツを『何故? 此処に?』と名付けた理由だが。


 この後、

トップ高の受験会場でコイツを見た時、

(何故? 此処に?)

と思ったから。

まあ、

向こうも、同じ感想だったかも知れないが。


 その高校入試の時、

昼飯を食っていたら、

試験会場に底辺不良中学の担任の女教師が入って来た。

何故? 部外者が入試の控室に侵入出来たのか?

と言うと、

その女教師の義理の兄が、

そのトップ高の教師だったから。

日本は、

昔から【不正と忖度の国】だった。

コネさえ有れば、

関係者以外立入禁止の入試会場で、部外者がフリーパスになるとか、朝飯前だった。


 その女教師は、

私のクラスの担任だったけど、

何故か? 

私の座席の後ろの連中、

つまり、

「『ぬう坊』をイジメるな!」と怒鳴り込んだクラスの奴等に話し掛けていた。


 そして、弁当を食っていたら、

こんな会話が聞こえて来た。


 女教師が、

「どう? 調子は?」

と尋ねると、

とある生徒が、

「一番で合格します!」

それを受けて、『何故? 此処に?』が、

「じゃあ、僕は、五番以内で合格します!」


 話はズレるが、

私が通っていた底辺不良中学の連中は、

周りに他校の生徒がいると、

豹変するんだよね。


 これがね。

T大とか医学部も同じなんだよ。

彼等の場合は、

子供の時から、低学歴正義教の方々に妬まれ続けて来たからね。

外部の人に対しては、

身構えちゃうんだよ。


 特にT大生は、周囲の期待に応えなくちゃならないから。


 昔、友達が言ってたよ。

「【一日、何時間勉強したんですか?】って聞かれて、

本当の事を答えると、嫌な顔されるから、

【二十一時間勉強していました】って、

言う様にしているんだ」

「一日二十一時間も勉強出来るわけ無いのに、

そう答えると有り難がるんだよ」


 T大生を見て、

(鼻持ちならない!)

と感じたら、

それは、彼等のサービス精神だと解釈していただければ。


 底辺不良中学の奴等の場合は、

不良連中を恐れて、

普段は、借りて来た猫の様に大人しいくせに、

他校の生徒の前では、

無茶苦茶、強気になるんだよ。


 本当! 困るんだよね。


 他校とモメたら、

それを処理するのは、私なんですけど。

傍迷惑な話だ。


 話を戻すと。


 トップ合格宣言を聞いた時は、

ドキッとしたな。

実は、

午前の三教科が終わった段階で、

(間違いは一つも無いかな?)

という状態で、

(こりゃ、総代コースかな?)

と、内心、思っていたから。

総代とは?

戦前の制度で、

入試のトップ合格者が、新入生を代表して、挨拶を行う。

私が受けた高校は、

元々は、旧制中学だったので、

戦前の制度が残っていた。


 さて、

定員四百五名中、五番以内で合格すると宣言した『何故? 此処に?』だが、

当然の様に、落ちた。


 その後、大学入試の時も、

全国のトップレベルの受験生が集まる場所で、

『何故? 此処に?』を見た。

その時も、

(何故? 此処に?)


 その後、彼は、

ニ浪して、早○田大学の商学部へ入り、

編入して、早稲○大学の政治経済学部へ行き、

I○Mに入社した。


 なっ?! 根性有るだろ?


 こんな気合が入った奴と喧嘩するのは。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ