『釣り堀の孫』 (1)
次の日の月曜日の朝、
『ぬう坊』は、
いつも通り、登校して来た。
この時代の子供達は、
「イジメられたから」
そんな些細な理由で、
学校を休んだりはしない。
正直言って、
今の日本の若い人達は弱過ぎる。
そりゃ、日本が衰退国になるわな!
ただ、
昔のイジメは、
殴ったり、蹴ったりの物理攻撃が主で、
単純だったけど。
私も、
何人かを病院送りにしてしまった。
それに、
今の日本の若い人達を、
トコトン甘やかして、駄目人間にしてしまったのは、
今の老人達だから。
全ては、
我々の世代の責任だ。
さて、
『ぬう坊』が現れると、変化が有った。
『釣り堀の孫』が、
積極的に話し掛け、『ぬう坊』に近付いて行った。
『釣り堀の孫』とは?
小学生の時、
とある釣り堀へ一度だけ行ってみたのだけれども、
下手糞なので、
ヒットする事無く、金をドブに捨てた。
その釣り堀の孫と、
底辺不良中学へ入ったら同じ学校となり、
同じクラスになった。
彼は、
クラスで三番目に背が高かったので、
(つまり、私、『ぬう坊』の次)
『ぬう坊』と座席が近かった。
それで、
前日に『ぬう坊』の自宅に召喚されていた。
話はズレるが、
その釣り堀の跡地には、現在、マンションが建っていて、
その『釣り堀の孫』の推定資産は十億円を超えている。
さらに話がズレるが。
私が生まれ育った地方では、
昔、錦鯉の養殖が行われていた。
その養殖用の池の事を、
その地方では、
「○イケ」と呼んでいた。
「○イケ」と伏せ字にしたのは、
『○池』という苗字の奴の実家が、
本当に、錦鯉を養殖していたから。
つまり、人名なので。
その養殖用の池の跡地にも、現在、マンションが建っていて、
『○池』の資産も、十億円を超えるだろう。
そのマンションに、
『どうやって? 日本を衰退国へ変えたのか? 〜教育編』の第十五話で書いた『山下二世』が、入居を希望した。
『山下二世』とは、
底辺不良中学内で、
素手で喧嘩して、唯一、私に勝てる存在だ。
そんな奴だったので、
彼は、子供時代に『○池』をイジメていた。
それで、
入居を断られてしまった。
大人になって立場が逆転したわけだが、
それは、
『○池』の才能でも努力でも無くて、
【資本主義社会】の御陰である。
ただ、
『山下二世』自身も、
大手回転寿司チェーン店のカ○パ寿司とかに土地を貸していて、
遊んで暮らせる御身分なんだけど。
ついでに、
資産十億円を持っていないのに、
【共産主義】を否定してしまうのは、
ただの馬鹿だ。
リアルが充実している人達を妬むあまり、
リアルが充実している人達の足を引っ張る事しか考えず、
現実を直視出来ていない。
もちろん、
資産が十億円以上有る人は、
当然、
【共産主義】を敵視するべきだろう。