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第676話 なんだかんだ




ヒューバートも着替えに行け、アマリリスにお茶を用意してもらって、朝の――昼に近いティータイムとなった。


「昨日の賑やかしさもいいけど、やっぱり静かにお茶を飲んで、花たちを眺めるのもいいよね」

「そうですね」


アマリリスが同意してくれる。

犯人の手がかりになるものは結局見つけられなかった。

ソフィーも私の精霊も何も言わないって事は、私のいないところで解決しようとしているのだろうけれど…

やっぱり、私の庭のことなのだから、報告して欲しかったな…


「ラファエルは休憩に入ったら顔見せてくれるかな?」

「見せてくれると思いますよ。部屋にフィーアが残っておりますから、ラファエル様がいらっしゃいましたらこちらにいらっしゃると伝えるでしょう」

「そう。じゃあ、昼食もここで取ってもいい?」

「はい。ご用意します」


頭を下げて去って行くアマリリス。


『ガイアス・マジュ殿下の様子は?』

『慣れない作業で身体が悲鳴を上げているようですが、泣き言は言わずに働いておりますよ』

『リーリエ・マジュが傍で優雅に茶を楽しんでいるのも、笑えるが』


逐一報告が入っているのか、フッと失笑しながら報告してくる究極精霊みんなに苦笑する。

その勢いで花壇の件も口を割ってくれたらいいのに、全員が口を噤むんだから……

まぁ、みんな主と呼ぶけれど、主従関係ではないから仕方がないのだけれども。


『路面電車用の線路設置状況は?』

『現在温泉街からテイラー国国境までの設置に入っております』

『………え? 早くない?』


この間までガルシア公爵領の街まで行ってなかったはずだけど…


『それに、常に雪が積もっている北では、対策を打たないとすぐに線路が雪に埋もれて……』

『それは王太子にお聞き下さい』


あ、会話を打ち切られた。

でも、そうだね。

これはラファエルに聞くことだった。

私はお茶を飲んで花を眺める。

私の知らないところでどれも進んでいる。

人のいる数だけ。

暫く私の案もいらないだろうし…

ラファエルが色々出してくれているから。

………今の私の役割って、なんだろう?

ランドルフ国に、何をしてあげられるのだろう。

ここに来て、私の存在意義に疑問が生じた。

………私、ただここにいるだけでいいのかしら……


「こんなのんびりしてたらいけないんじゃないの!?」


いきなりガタンッと立ち上がったからか、アルバートと珍しくヒューバートがビクッとした。


「そ、ソフィア様?」

「まだまだ私がやるべき事は残ってるはずだもの!!」


そうよ。

私はこんなにのんびりしていていいわけがない。

ランドルフ国の為に、もっと色々やることがあるはずだわ。

ラファエルに、いやルイスでもいいわ!

今からでもやれることがあるか聞いて――


「まだ働こうとしているの?」

「あ……」


ラファエルがこちらへ向かってきていた。

いつの間にか休憩の時間だったらしい。


「今は休むことがソフィアの役目だよ」

「充分休んだわ」


お茶会の前はそれこそ寝たきりだったのだから。


「お茶会での疲れを取らなきゃでしょ」

「でも…」

「思った以上に令嬢はともかく、夫人達とのやり取りは気を使ったはずだよ。2・3日はゆっくりしなよ」

「………分かった…」


言い出したら撤回などしてくれない。

私は素直に受け入れた。


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