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第598話 私が悪かったです

いつも「転生したらモブはモブでも王族でした」をお読みいただき誠にありがとうございます。

私事ではございますが、この度身内が1名永眠し、誠に勝手ながら執筆時間を考慮し見送らせていただき、楽しみにしていただいている方をお待たせしてしまいました。

申し訳ございません。

お悔やみの言葉をくださった方に感謝します。

神野 響




ふと意識が浮上した。

暗闇の中で絶望し、それでもラファエルに手を伸ばした。


置いていかないで――と。


ハッとすれば薄暗い天井が目に入った。

そして伸ばしている手も。

あんなに自分の手さえ視界に入らない真っ暗な空間にいたのに。

震える手で顔に触れる。

頬がなんだか濡れている。

………泣いていたんだと、分かった。

腕をついてゆっくりと身体を起き上がらせる。

ギシッという音にホッとする。

何も聞こえない空間で、冷たいラファエルの声とあの女の声しか聞こえなかったのだ。

他のどんな音でも安堵する。

視界だけで周りを伺えば、見慣れた空間だと安堵する。

私のサンチェス国での部屋だ。

ベッドの横に椅子がある。

誰かが座っていたのだろうか。

いつもは窓際にある椅子が動かされているから。

お兄様かな……それともソフィーかな…

中途半端だった身体を完全に起こすと、ビキッと嫌な音がする。

これはなんだか既視感があるぞ……

前に森の火事を終息させ、侯爵断罪した後に王宮へ戻る途中で意識を失った後に、目覚めたときのような……

その瞬間、めざましく記憶が甦って来た。


「………倒れたんだよね。それで、私今回何日寝込んだんだろう……」


私も学習するんだ。

こうなったら無理にベッドから出ようとしたら、足がカクンとなって倒れ、生まれたての子鹿にもならない無様な姿をさらすのだ。

そんな姿は二度と晒すまい。

特にラファエルにはっ!!


「………って、サンチェス国にまだラファエルは来てないよね?」


ランドルフ国のはずだ。

だったらセーフだ。

アウトではない。


「ラファエルにさえ倒れたことを知られなければ、説教はない!」


よしっと、拳を握ったときだった。


「………ふぅん?」


背後から声が聞こえた。

予期していなかった私は、ビクッと飛び上がった。

そのせいで体勢を崩し、ベッドに手をつくも支えられずに前倒しになる。


「ぁ――!」


ヤバいっ!!

顔面から落ちちゃうっ!!

近くなった床に、思わずギュッと目を閉じるけれど、一向に痛みは来ない。


「………?」


不思議に思って目を開くと、腰に誰かの手が回っていて、右に私の手ではない手がベッドにつかれているのを視界に入れた。


「………危なっかしいねソフィアは……」


はぁっとため息をつかれる。

………こ、この聞き慣れた声は……

ギギッと顔を後ろに向けてみる。


「痛くない? 大丈夫?」


心配そうに顔を覗き込んでくる人は間違いなくラファエルで……


「ラ、ファエ、ル……」

「うん。おはようソフィア」


私が名前を呼べば、にっこり笑う。

………満面の笑みのラファエルさん、怖いです……


「いや、俺も許そうと思っていたんだよ? 間違いなく。ソフィアはサンチェス国の王女だし? 民のために力になれることがあるなら躊躇う理由なんてないんだし? レオポルド殿だって苦渋の選択と分かっていても頷いたんだし? でもね――」


あ……目が笑っていないですラファエルさん……


「――俺が知らなければ許容されると、本気で思ってる? どうしてそう君は自分に無頓着なのかな?」

「スイマセンデシタ!!!!」


口元の笑みまで消さないでください!!

余計に怖いです!!

私がわるぅございました!!

自業自得だけれど、起きて早々ラファエルに説教されました。

永遠と説教された後は、口づけで腰砕けにされる罰が待っていました……


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― 新着の感想 ―
[一言] この度はご愁傷様です。 故人のご冥福を心からお祈りしております。 次回、落ち着いてからのお話も楽しみに待っています。 どうぞお身体を大切になさって下さい。
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