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第592話 冗談じゃないんだけど ―R side―




「ガイアス殿」


俺はガイアス殿に近づいていく。

4人で話し合っていたが、俺に全員顔を向けてくる。


「サンチェス国からマジュ国の者を見ないと連絡が来たんだが、全ての国へ派遣しているのではなかったのですか?」

「え!?」


俺の言葉にガイアス殿は勿論、リーリエ王女も後の2人も目を見開いた。

本当に驚いたようだった。


「どういう事です? これでサンチェス国へ向かったソフィアは勿論、レオポルド王太子やサンチェス国の者達に何かあったら、私は許しませんよ」

「ちょ、待って! 本当に全部の国へ派遣命じたよ!」

「ガイアス様! 言葉遣い!!」

「あ……」

「そんなことどうでもいいです! それが本当ならマジュ国の者は一体何をしているんです!? 来国時に王宮へ事情説明もされないとは、申し訳なく思っていないと取れますよ! 一体貴方方は本当に迷惑をかけておきながら反省しているのですか!?」

「し、してるよ!!」


真っ青な顔でガイアス殿が言い返してくる。


「ミュール! サンチェス国にいる魔導士に通信して下さいませ! 今何処にいるのか! きちんとサンチェス国王に頭を下げ、ともに対応しているのか!」


リーリエ王女がミュールに指示を出す。

すぐさま木の枝を掲げ、ミュールは目を閉じた。

………なるほど。

魔法でもゴールドがやってみせた通信が出来るのか。

全員がそれを見守っていると、カッと目を見開いた彼はワナワナと唇を震わせる。


「なんて無礼なっ!!」


思わず、といった感じだった。


「おま…! なんて事をしたんだ!!」


そして心の中で話していたのに、そんなことし続けられなくなった、という感じだ。

心の中で叫ぶには、あまりにも持て余す感情だったようだ。


「ミュール、どうしたのです」

「申し訳ございませんガイアス様、リーリエ様! あのば――男は、サンチェス国王宮へ行かずに変身魔法で兵士になりすまし、兵士に混じって密かに対応しており、そのせいでサンチェス国の食物は食い荒らされ、あろうことかサンチェス国王、そして王太子殿下と王女殿下に尻拭いをしてもらい、あまつさえ王女殿下の力に興味がありまとわりつき、それによって兵士に紛れ込みがバレ投獄されたようです!」


サァ……とガイアス殿だけでなく、リーリエ王女までもが顔色を真っ青にした。

………最悪だな。

マジュ国の魔導士ってそんなのばっかりなのか?

うちも人のことは言えないが。


「な、なんて無礼な……」


ふらっとリーリエ王女が体勢を崩し、慌ててヨウフが支える。


「が、ガイアスお兄様が聖女とともに働いた無礼に匹敵するわ……!!」


リーリエ王女が叫んだ。

………いや、聖女の方がまだ酷いと思うがな。

ソフィアが危険な目に遭ったのだから。

サンチェス国では比較的大丈夫だったようだし。


「お、俺はちゃんとラファエル殿に謝罪をしたぞ!?」

「その後の行動と言動が無礼以外の何ものであるというの!!」


ギャーギャーと一方的にリーリエ王女に責められ始めたガイアス殿。

リーリエ王女に一連のことがバレているようだった。

それも魔法だろうか。


「そもそも一番に謝罪と事情説明し、ご協力頂くのが筋でしょう! 尻拭いしてもらったあげくに王女殿下の付け回しですって!?」


ガシッとミュールの胸元を握るリーリエ王女。

………王女がやることじゃない。


「い、いえ……まとわりついて、です……」

「そんなの言い方が違うだけで同じだわ! 女性に対して何をしているの!? 気持ち悪い!!」


嫌悪感を隠しもせずにミュールをまるで汚物を見るようにして見る。

そんな目を向けられたミュールは真っ青だ。

………ミュールがやったわけではないのに。

でもなんだろう。

リーリエ王女にソフィアの姿がダブる。


「すまないがその辺で」


俺が割って入ると、全員の目がこちらに向いた。


「今すぐにでもソフィアの所へ行きたいが、ランドルフ国のマモノ排除が先だ。先を急ぎたいから馬を走らせる。休むつもりはないから全力で取りかかって欲しい」


俺の言葉にマジュ国の者達は息を飲んだが、しっかりと頷いた。

手綱を引き、俺は何も合図をせずに馬を走らせた。

分かっていたのかルイスも騎士も遅れずについてきた。

マジュ国の連中は慌てて馬を走らせたのだった。


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