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第590話 素性 ―R side―




辺りのマモノを片付け終え、被害状況を見る。

怪我をしたのは数人。

それも回復魔導士の女がいれば問題なかった。


「ミュール、魔物はもういないか?」

「お待ち下さい」


ミュールという男が木の棒を取り出し、空に向かってぐるぐる回した。

空に透明な円が出来、その中に小さい青い点がいくつか映し出された。


「それは?」

「探索魔法ですよ」

「タンサクマホウ…」

「青い点が見えますか?」

「ええ」


ガイアス殿の言葉に頷く。


「コレは味方を示します。赤い点があれば敵、この場合魔物を指します」

「なるほど」

「術者を中心として周りの様子を見られるのです」

「凄いですね」


素直に感心する。

いつも俺自身の感覚や騎士の五感、精霊の警告で気配を感じているのが、視覚として見えるということだ。

欲しいな。

精霊の誰かが出来ないかな。

俺にはマリョクとやらがないから出来ない。


「ガイアス様、ランドルフ王太子様、この辺りには魔物はいないようです」

「そう。ありがとう」

「国中のマモノを見ることは出来ないのですか?」


俺が聞くと、ガイアスが困ったような顔をして首を横に振る。


「この国の全てを覧るには、魔導士が100人以上は必要です」

「そんなになのか…」


それなら無理だな。

やはり国中を回らないといけない。

ソフィアと合流できるのはまだ先だな…

ため息をつきそうになり、飲み込む。

朝に別れ、今は昼過ぎ。

もうソフィアに会いたい。

ソフィアが足りない。


「ラファエル様、騎士らの治療が終わりました」

「じゃあ動けるね」

「はい」


ルイスが報告してきて、その後ろにリーリエがいた。


「助かった。ありがとう」

「いいえ。こちらの国の事情でランドルフ国の方には迷惑をおかけしております。感謝も謝罪も不要でございます」


………リーリエが王太子より立派に見えた。


「我が国の方がランドルフ国始め、他国に対して伏してお詫び申し上げなければなりません。けれど、その前にまずは魔物を殲滅しなければなりません。勝手とは存じておりますが、ご協力をお願い致します」


深く頭を下げるリーリエに違和感を覚える。

というか、王族ガイアスより王族らしいぞ…?

あのガイアス殿の付き人にしては出来すぎだ。

何故こんな者が王ではなく王太子の傍に…

チラッとガイアス殿を見てしまう。

見られたガイアス殿はうっ…と言葉を詰まらせている。


「………リーリエ王女が女性なのが悔やまれます」

「………そうですね。ガイアス王子より出来る人なのに。王位継承権がないのですから……残念です」

「ヨウフ!! ミュール!!」


顔が青ざめ、2人に吠えた。

………王女…?

リーリエを見ると、無表情……いや、冷めた目でガイアス殿を見ていた。

王族に対する目付きじゃない。

どちらかというと、身内に対しての…

よく見れば、髪色も瞳の色もガイアス殿と同一のものだ。

ソフィアの可愛い可愛い我が儘で、女性と目を合わせないようにしていたから気付かなかった。

………成る程、そういう事か。


「………これは失礼しました。リーリエ・マジュ王女」


それに、名前は知っていたが、顔は知らなかった。

同じ名前だと思っただけで、同一人物だとは思わなかった。

俺もまだまだだな。


「ラファエル・ランドルフ王太子。わたくしはこちらに一魔導士として来国しております。そのようにお扱い下さい」

「………分かった」


彼女がそういうのならそうしよう。

頷いて俺はガイアス殿を見た。


「次の場所へ行きます」

「あ、ああ…」

「………ガイアス殿」

「わ、分かりました!」


鋭くリーリエに指摘され、ガイアス殿が慌てて言い直した。

そんなやり取りに苦笑しながら、俺達は移動を開始した。


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