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第59話 優秀すぎるでしょ




目の前にたたずむ壁。

その前に私はいました。

ラファエルに連れられて。

縦ロール……テイラー国王女がテイラー国王に連れ帰られてから10日目。

あれからすぐに国王に怒られたらしく、さらに非礼を詫びると言ってかなりランドルフ国に優位な同盟を結べたらしい。

………ラファエル怒らしたら怖いしね…

更に有益な同盟を自分の娘が壊したんだ。

下手になるのは当然でしょうね…

っと、それはいいわ…

直接私が関われるはずもなく、ラファエルから報告受けるだけだしね。


「さ、ソフィア。指貸して」

「………」


あれから10日だ。

なのにランドルフ国技術者達は、完成させてしまったらしい。


指紋認証扉、を。


いや可笑しいでしょ!?

日本の技術で何年かかったと思ってるの!?

知るはずもないけど!!

私も知らないけど!!

でも、日単位で出来るものじゃないでしょ!?

どうなってるのよこの世界は!!

ゲームだから!?

それで解決しちゃうの!?

この技術サンチェス国王家に売ったら儲けるよね!?

借金返済万歳!?


「ソフィア?」


キョトンと見ないで!

現実逃避させて!!

思いながら私はラファエルに手を差し出した。

指紋登録をされる。


「よし。これでこの区間は俺とソフィアとルイス、後は身の回りの世話をする者のみが入れるね」

「………ソウデスネ」


もう、何も思うまい…

こういう国だと思っておかなければ、私の精神が保たない…

サンチェス国は普通だった。

政策から実行するまでに月単位かかり、完成は何年も先だった。

でも、ランドルフ国は日単位だと思っておこう…


「それとこれ」


ラファエルにカードを渡される。


「なに?」

「指紋認証が壊れたときのスペアキーだよ。壊れたときに部屋に入れなかったら困るからね」

「………ソウダネ」


まさかの二重アイデア採用でしたか……

うん、別に良いけどね…

私がどうこうできるものでもないし…

ほんと、ランドルフ国の人は優秀だね。

………一部を除いて。

正しく指示できれば、ランドルフ国の発展は確実で。

その頂点に立つのがラファエルになる。

そのラファエルが間違ったことをした時、私が止める役目になる。

………責任重大だなぁ。

王族同士の結婚はどうしても責任がついて回る。

それは分かっている。

だから、私はラファエルに――婚約者となった相手に政略以外の感情を持つのは危険だと思っていたのに。

恋してしまえば、判断が鈍る可能性がある。

でも、感情は制御できるものでもなく、私はラファエルに恋をした。

これにより、私は更に感情を制御することを忘れないようにしないと、と改めて思った。

二人で支え合って生きる。

私が間違ったことをすれば、ラファエルが止めてくれるだろうし。

うん、大丈夫。

優秀な者達の上に立つプレッシャーを感じたけれど、ラファエルを見ていると何とかなりそうだと思う。

………これも、恋しているから、無条件で信頼してしまっているって事かしら…?

それは分からないけど…まぁ、何とかなるでしょ!


「ラファエル」

「ん?」

「私、甘い物が食べたいな」

「え……」


私がラファエルにこんな事を言うのは初めてだった。

ラファエルが驚いている。

でも、こうでもしないとラファエルは休まないしね。

この後もすぐ仕事に戻ってしまうだろう。

夜も帰ってくるのが遅いし。

そして指紋認証扉もどうせラファエル主導だったんだろうし。

私の役目で最重要にしないといけない案件は、ラファエルを休ませること。

扉出来たのなら、一段落でしょ。


「ラファエルが作ったお手製甘味が食べたいなぁ。ラファエルも一緒に食べてくれたらもっと嬉しいけど…」


顎に人差し指を当てて少し顔を上に向けていった。

そしてチラッとラファエルを見ると…


「ルイス! 俺は今から休憩だ!!」

「………はい、畏まりました」


背後に立っていたルイスに素早く言い、私を抱え上げた。


「書類は休憩終わったらやるから整理しておいてくれ!」

「………畏まりました」


ルイスが呆れた顔でラファエルを見ている。

が、ラファエルは気にせず私を抱き上げたまま私の部屋まで早足で向かった。

チラリと視界に入ったルイスは苦笑しており、私の視線に気づけば頭を下げる。

どうやら正解だったようで。

私はラファエルにされるがままだった。


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