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第588話 障害って何だ




緊急会議が終わり、私は笑顔を作ったまま部屋へと戻った。


「お兄様め…」


入って扉が閉まった途端に笑顔を取った。

………頬が痛い…

表情筋が戻らなかったらお兄様を恨んでやる。


「お疲れ様でした」


ソフィーがお茶を持ってくる。


「どうして私が会議に出席しなければいけないのかしら」


ソファーに座ってお茶を飲む。

貴族達の冷たい視線が脳裏から離れない。

こんな小娘に出席などして欲しくもないだろうに。

お父様の招集だろうから仕方ないけれどね。


「ラファエルの方は大丈夫かな。私が戻れたらいいんだけど…」


あれだけキッパリと数日滞在するって言っちゃったからね…

そうだ。

あの通信って私から出来るかな?

出来るよね?

だって究極精霊眷属が出来るんだから、究極精霊が出来ないはずがない!!

光精霊コウに願ってラファエルに通信できるようにしてもらう。


………


………………


………………………


………………………………


何も起きない。

………何故に!?


『すみません。通信障害が』


精霊の力に通信障害なんてあんの!?

ラファエルの声が聞きたかったのに…

ガックリと肩を落とす。


「姫様?」


侍女らに不思議そうにされるけれど、それどころではない。

あ、じゃあ精霊の目で!

とラファエルの近くにいる精霊の目に繋げてもらおうとした。


………


………………


………………………


『すみません。視覚障害が』


視覚の障害って何だ!?

これまたガックリする。


「………はぁ…」


ソファーに寄りかかり、ため息をつく。

もどかしいな…

ラファエルの声が聞きたいな……


「やぁソフィア! 堂々としていて良かったよ!」

「………殴っていいですか」

「暴力反対だよ!?」


相も変わらずノックをしないお兄様に向かって拳を握った。


「大体なんで一言もなく会議に出席させるんですか!!」

「え? 言ったら逃げたでしょ?」

「はい」

「………」

「………」


あ…しまった…

即答してしまい、ガックリとまた項垂れる。


「ソフィアの行動は分かっているつもりだよ」

「………ソウデスカ」


お兄様が向かい側のソファーに座る。


「で、実際どうなの?」

「え……」

「あのマモノとやら」

「あ……うん。全部おびき寄せられたと思うんだけど、楽観は出来ないから私の回復を待って、また精霊達に回ってもらうつもりだよ」

「そう」


お兄様は少し困ったような笑みを浮かべる。

………何故に?


「ごめんね」

「え……」

「ソフィアに負担を強いているのは分かっているんだけど、俺では手伝えないから…」


あ、そうか…

ラファエルに私の精霊に寄ってくるって聞かされているものね。

精霊契約をしてないお兄様には手伝えない。


「俺にもその精霊が見えればあるいは契約できるんだろうけれど、あいにくとそんな力は俺にはないらしい」

「………私も見えてなかったよ」

「え……」


キョトンとしないでよ。

知ってるでしょ。


「ランドルフ国で初めて精霊が姿を見せてくれたので」

「そうなんだ。じゃあ俺もランドルフ国に行けば見えるようになるのかな?」

「………今まで何度も滞在してましたよね…」

「………」

「それに、精霊が気に入った人間に姿を見せるということですし、なにもランドルフ国ではなくサンチェス国でも…」


ふと口を噤む。

だって今までずっとサンチェス国に住んでいて見えてなかったものね。

私もそうだったのだから、お兄様も期待できない。


「………諦めて応援だけするよ」

「………頑張って契約して手伝うっていう選択肢はないんですね……」


諦めの早いお兄様に苦笑し、またお茶に口を付けた。


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