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第559話 真面目な話のはずですが




ラファエルに呼ばれて建物の中へと入った。

魔物を出したときに闇精霊ダークネスの手を握ったことでラファエルから怒られたけれども…

気を取り直して。


「分かったことは、俺とルイスにも反応したこと」

「2人にだけ?」

「ソフィアが出て行ったら俺に。俺も出たらルイスに吠えてたでしょ?」

「そっか。ラファエルの騎士達には反応しない?」

「見向きもしなかったね」


やはり精霊契約者に反応するようだ。

それも、序列順に。

ナルサス含めたラファエルの騎士達の出番はなさそうだ。


「………これじゃあ1番王宮が危ないね」


ラファエルの言うとおり、精霊契約者はランドルフ国内で私達3人だけ。

その3人は基本的に王宮内にいる。

魔物が何処までの感知をするのかは知らないけれど、1番危険なのには変わりはないだろう。


「………ルイス、どう思う?」

「………申し訳ないですが、ソフィア様のみを王宮に残して我々がマモノの対処に向かう事は出来ないでしょうね」


ですよね…


「でも一緒に行くと確実にソフィアが狙われることには変わりないね」


さっきからずっと私に向かって唸っている魔物を前にして、私達は話し合う。


「私が王宮にいて王宮に魔物が来たら困るから、積極的に動いて対応するよ。民に被害が出ないことが1番だから。喜んで囮になるよ」

「………それは嫌なんだけどね……ま、これで民が襲われることは低いとは思うけど、絶対にないとは言えないからね」


積極的に対応に出るという方向で話はまとまり、次に精霊の力がどれぐらい通用するのか確認に移る。


「私の精霊達の攻撃は、どの属性でも効果があることを確認してるから、最後でいいよ」

「うん。ソフィアの精霊の攻撃は単純なやつだけ?」

「そうだよ。火とか水とかそのまま。9人とも。複雑な攻撃なんてしてない。木精霊ジュリの攻撃も――植物で身体を貫いて引き裂いても有効だったから、ユーグやルイスの精霊でも大丈夫だと思う」

「分かった。それぞれ単体でマモノ撃破ってことだね?」


私はラファエルの言葉に頷いた。


「ルイスからいこうか……って、闇精霊ダークネスはどんな攻撃したの?」

「普通に闇の球体をぶつけてたけど?」

「だって」


私の言葉を聞いてラファエルはルイスを見る。

首を傾げると、ルイスは苦笑する。


「私は精霊で攻撃などしたことありませんからね」

「え………でも…前に――」


火山の手前の森で使っていた、と言おうとして、精霊を止めるために力を貸してもらっただけで、ルイスは攻撃などしていないことを思い出した。


「じゃあまず足に向かって攻撃してみようか」

「分かりました。来て下さいリューキ」


ルイスが闇の力に包まれたと思えば、瞬く間に隣に男性が立っていた。

黒い短髪に黒い瞳。

闇精霊ダークネスみたいに顔色が悪いとかではなく、普通の人のような――いや、イケメンだから普通じゃないわ。

どちらかというとアウトドアが好きそうな…フットワークが軽そうな…? 男性。

私を見てにっこりと微笑んでくる。

う……イケメンオーラ破壊力半端ない…

………闇の精霊にしては愛想がいいな!!

あ、コレは偏見か。

………でも、こんな男が闇精霊ダークネスの命令には素直に従うのか…


『………失礼だぞ主』

『あ、聞いてたのね。ごめん』


闇精霊ダークネスに抗議され、素直に謝った。


「………ソフィア。ルイスの精霊に見惚れてない?」

「気のせいだと思うよ」


ラファエルに見下ろされ、スイッと視線をルイスの精霊リューキから反らす。


「俺を見ないって事はそうでしょ」

「なんでそうなるの」


ラファエルを見上げると、ムスッとしていた。


「ラファエルだって、初対面の人は見るでしょ? 顔を覚えるために」

「覚えなくていいよ。ソフィアも俺に女の顔を見るなって言ったじゃん」

「いや、確かにラファエルの目に他の女の子が映るのは嫌だけど、ラファエルだって覚える必要がある人の顔は見るでしょう? ラファエルが私の我が儘叶えてくれようとするのは凄く嬉しいけど、実際は無理だし…ラファエルは王太子だから人の顔を覚えるのは必須でしょう? それにリューキはルイスの精霊なんだし私も覚えておかなきゃ…」


ラファエルは唇を尖らせて拗ねた。

………ぇ、何この可愛い人。

私はポカンとラファエルを見上げてしまった。


「………俺、王太子辞めたい…」

「なんで!?」

「ソフィアに独り占めされたい……」


………するんじゃなくて、されたい、なんだ…


「平民なら煩わしいこと一切しなくていいのに…ソフィアの我が儘全部叶えられる…」


言ってることは分かるけれども…


「………ラファエル以外王子様いないから無理だね」

「………はぁ……」

「それにラファエルが王子様辞めちゃったら、私別の人に嫁がされちゃうかと……」

「王太子辞めません」


途端にキリッとした顔になるラファエルに苦笑する。

そんなやり取りをしている間にリューキが魔物の足を攻撃し、魔物の足が吹っ飛び、吹っ飛んだ足は黒い煙を出して消えていった。

胴体に戻る気配もないし、生えてくる気配もない。


「足だけではやっぱり死なないか。他の動物と一緒で胴体に心の臓があるのかな?」


ラファエルがすぐさまシリアスモードになる。

………そのまま終わるまでキリッとしておいて下さい。

時折脱線するのは緊張感が飛んでいくから…

そんなことを思いながら、私はラファエルとルイスの会話を聞いていたのだった。


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