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第539話 意外な方法




途中で除雪機の1機に乗せてもらって、除雪しながらスキー場予定地へ向かった。

雪深い北の領では、徒歩ぐらいしか移動手段がない。

馬車では雪で身動き取れなくなるから。

除雪機兼馬車って感じだ。

騎士らは荷台…と言っていいのか? 除雪機の後方のとても座れるような所ではないところに、乗り込んでいる。

侍女らはアシュトン公爵家でお留守番となった。


「ああ、あそこの斜面だよ」


ラファエルが指差した方を見る。


「わぁ…」


私が思っていたより随分高い山の斜面。

上の方は急で、下の方は緩やかだ。

土地は広く切り開かれ、充分スキー場として使用できる。

リフトも余裕持って作れるだろうし、横に広いから子供用のソリ場も余裕で作れるだろう。

私が笑ってみていると、シャーッという微かな音が聞こえてくる。

何だろうと思って視線を向けた。


「………」


視線を向けた先に見た物に、私は絶句してしまった。

シャーッと音を出していたのは、雪を滑る板の音だった。

次々に上から滑り降りてくる板。

そしてその板の上に乗っている人々……

………って!!


「なんでスキーしてるの!?」


ご丁寧にスキー用の板とステッキも作っているようだった。


「へぇ。あれがスキーなんだ?」


ラファエルが首を傾げているから、ラファエルが主導で作ったわけではなさそうだ。

そして滑っている人の気配は、純粋な人の気配ではない。


「精霊に手入れするように願ったんだけど」

「………ぁ~……」


その手入れの仕方が、上からひたすら滑ることだったのだろう。

次々と上から滑っていく人型精霊達。

時々面白がって大きなソリで滑り降りてくる精霊もいる…

下まで滑り降りたら力で飛んで頂上まで戻っていく…

………ぁ~……リフト乗らなくてもいいから便利だねぇ…

………って!!

一般人に見られたら通報ものだから!!

ビックリしてひっくり返っちゃったら危ないから!!

あ、いや、雪がクッションになるか…

所々に除雪機の吹き出し口が設置されており、どんどん雪が積み上がっていく。

その場所めがけてピンポイントで滑ってくる精霊達は無駄に器用…


「ら、ラファエル……ここ、一般人立ち入り禁止?」

「いや?」

「………立ち入り禁止じゃないと、空飛ぶ人は怪奇現象だから……怖いよ…」

「………ぁぁ…」


ラファエルにとっては当たり前でもね?

民は当たり前じゃないからね…


「早々にリフト作らないと…」

「分かった。こっちにも技術精霊送り込もう」


………技術者改め技術精霊なんだね…

なんかドッと疲れた……

………でも…


「私もスキーしたい!!」

「いきなり何…?」

「私も滑りたい!! いいでしょラファエル!!」

「ダメだよ。まだスキー場作れてないんだから。怪我したら嫌だし」

「スキーなんて転んでなんぼだよ!!」

「ええ!?」


転んだ数だけ上達する!!

と、ラファエルを説得するも、ラファエルは首を横に振るだけだった。


「なんで!? 精霊達があんなにいるんだから、雪に埋まっても助けてくれるよ!!」

「埋まっちゃダメでしょ!? 王女でしょ!」

「むぅ!!」


私はプクッと頬を膨らませた。


「ラファエルがここに連れてきたんでしょー!!」

「………連れて来なきゃ良かったって、今後悔してるよ…」


困った顔で微笑むラファエルと攻防を続けていれば、黙って見ていた騎士らに抱き上げられ、強制退去になってしまった。


「俺のソフィアに触らない!」


………ぶれないラファエルに、また私は頬を膨らませたのだった。

それよりも私にスキーをさせてぇぇ!!


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