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第508話 思わぬ仕事が増えました




騎士見習いの面接が始まって、1人面接するたびに、隊長達に意見を聞く。

それを繰り返して最後の人を退出させる。


「今の人は?」

「問題ないかと」


多少ダメだった人はいたけれど、大半は採用することとなった。

四方の中で特に偏りが出るわけでもなく、人数的には問題はないだろう。


「やる気次第だとは思いますけれど、比較的短い期間で基準には達しますか?」


私はトントンと書類を整えながら隊長達に聞く。


「本物の騎士候補ではありませんので、何とかなると思います」

「走り込みを強化して、足の速い者を育てれば、例え危険になっても我々の元に辿り着けるまで力尽きることはないと思われます」

「ただ、住民が襲われていた際に、身近な人物だと割って入ってしまう可能性も捨てられません」

「訓練を受けたから、と自分を過大評価してしまう傾向はあるでしょうね」


みんなの意見を聞きながら私は頷く。


「それならば、騎士と平民騎士見習いを組ませて、2人1組で巡回はどうでしょうか? 騎士が相手をし、見習いが走って報告」

「成る程」


隊長達は暫く考え、頷いた。


「確かに今は人数の関係もありますが、各自バラけて1人で巡回しておりますね」

「土地も広いですから」

「ソフィア様の意見を取り入れるとなると――」

「より鮮明な巡回ルート計画を…」


………ぁ、隊長達が話し合いに没頭してしまった。

まぁいいか。

思う存分話し合ってくれれば。

私はその辺りは突っ込めない。

ラファエルの管轄だから。

………ラファエルはまだ来ないのかな…

騎士の意見は聞いたけれども、ラファエルの意見を聞かずに採用できないし…


「邪魔するよ」


そう思っていたら、当の本人が入ってきた。


「ラファエル様。お呼び立てして申し訳ございません」

「いいよ。私が配れと命じたのだから。遅れてごめんね。今はどの辺り?」


ラファエルがルイスと共に私の元まで来る。

騎士隊長達は急に2人が入ってきたものだから、直立不動になった後、慌てて頭を下げた。


「侍女見習いと騎士見習いの面接は済みましたわ」

「ありがとう。もっと早く来れたらよかったんだけど」

「いいえ。騎士見習いの方は騎士隊長と副隊長に来て頂いて、何とか出来ましたし」


ラファエルは私の言葉を聞いて騎士らを見た。


「ありがとう。忙しいところ悪かったね」

「「「「「「「「勿体ないお言葉です!!」」」」」」」」


………本当に軍隊みたいに揃ってる…


「使えそうなのはいたかい?」


………ラファエル、言い方……

騎士らに混じって話し合いが始まった。

採用した者の訓練や配置や巡回の仕方など。


「………うん。いいんじゃない? ね、ルイス」

「はい。私にも異論はありません」


2人の許可も出て隊長らはホッとして、訓練に戻ると言って出て行った。

採用した書類はルイスが持ち、ラファエルは私の隣に座る。


「侍女はソフィアとソフィーに任せていいんだよね?」

「お任せ頂けるのなら」

「いいよ。そっち方面はソフィアの仕事だからね」


笑って許可してくれるラファエルに、私も笑う。


「じゃあ、最後に使用人の面接か。これも任せられるならソフィアの管轄にしたいんだよね」

「え……」


サラッと言われた言葉に私は固まる。

いやいやいやいや!


「だって使用人って結局侍女の男バージョンじゃないか」

「………そうですが……」

「仕事的にも大差ないし、侍女見習いと共に教育になるよね」

「………ソウデスネ……」


思わぬ仕事が増えそうだぞ。

使用人を私の馴染みのある言葉に直せば、執事、だ。

することは主の1日の仕事や行動管理、王宮の管理――つまり掃除や傷んだところの修復、食事の運搬や客人の接客……

………うん、改めて考えても侍女と変わりないね。

男か女かの違いだけで……

ただ、能力があれば臣下――つまりラファエルの補佐が出来る階級になる場合もある。

故にラファエルが管理し、必要なら昇格出来るのが男性使用人。

それに王族が乗る馬車を引く馬の世話も男性使用人の仕事だし、御者も男性と決まっている。

これは事故があったらダメだから、よっぽどのことがない限り王族が信用している使用人がする。

けれど平民は使用人見習いから変わらない。

よって、私の管轄にしても問題ないわけで――


「やってくれるよね? ソフィア」

「………ハイ。精一杯ヤラセテイタダキマス…」


ラファエルがこれ以上仕事抱えないように、しっかりとやりますよぉ……

気乗りしない私は、そう言い聞かせながら頷いたのだった。


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