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第504話 真面目な話ではありません




メンセー国王との取引は順調に進み、ランドルフ国の言い値での契約が完了した。

交渉人のサンダは堂々とメンセー国王との交渉をするから、内心感心していた。

何を言われても戸惑うことなく、スラスラと。

染料だけでなく、量産型柄縫いのミシンも契約された。


「すぐに出せる料金はこのぐらいになる。これで染料を買えるだけ持って帰りたいのだが」


ドンッと机の上にパンパンの袋が置かれた。

………いや、それ何処に持ってたの…?

その大きさはメンセー国王の胸から腰ぐらいの大きな袋。


「お預かりして集計しても宜しいでしょうか?」


サンダが袋を示して聞き、メンセー国王が頷く。


「ああ。構わない。5日後に帰国する予定だから、それまでに用意できれば」

「畏まりました。責任を持ってお預かりします」

「では、我らはこれで失礼致します」


ファイとサンダが袋を持って出ていった。


「ラファエル殿、出来れば私が滞在中に染めている所を見させて頂きたいのだが、いいだろうか?」

「構いませんが、王自らが見るのですか?」


ラファエルが首を傾げる。


「私もだが、ここに来る前に国にいる職人の何人かを呼び寄せるように伝えている。その者達にも」

「成る程。分かりました。技術者に伝えておきますので来国したらこちらへ来てもらって下さい」

「助かる」


2人は笑い合い、交渉が終了となる。


「………さて、交渉が終了したところで、ソフィア嬢」

「え……あ、はい。なんでしょう?」


いきなり見られるからびっくりした…


「我が息子が失礼をしたね。お詫びする」


そう言って頭を下げられた。

………って!!


「あ、頭を上げて下さいませ! メンセー国王のせいではありませんから!」

「いいや。教育がなってなかったのは事実だ。部下からの報告を聞いて、血の気が引いたよ。アレンに斬られても可笑しくなかった」


え……

お父様に知られているのだろうか…?

部下って……影かな…


「カイには二度とソフィア嬢に近づくことも、サンチェス国・ランドルフ国に入国禁止も言い渡した。それで勘弁して欲しい」

「はい。わたくし、というより両国に迷惑がかからなければそれでいいですから」


主にラファエルとお父様とお兄様の逆鱗に触れなければ!!


「元々カイは、王位継承の資格がなかったために、教育が行き届いてなかったのだ。急にランドルフ国へ留学したいと言い出したとき、やる気になったのだと思い、私も嬉しくて許可してしまった。今までは遊び呆けていたからな…」


………だろうね。

王族の振るまいとは思えなかったし…


「平民ならともかく、他国王女に、しかも婚約者がいる娘に迫るとは……」


メンセー国王が言葉にした瞬間、ぞわっと全身に寒気が……!!

両隣から殺気が……!!

蒸し返さないで!!


「すまない。手を出してたら責任を取らせる準備はするつもりで――」

「それはないですね。私はソフィア王女を手放しませんから」


グイッとラファエルに腰を抱かれ、引き寄せられた。


「ソフィアが穢れた事実はないからね」


………ちょっと!!

3人共、私のこともちょっとは考えてよ!!

話題にされたら恥ずかしすぎるでしょ!!

手を出されたとか穢れたとか!!


「カイがダメなら私でもいいが?」

「だから、手を出されてないから!! ソフィア王女は清いままだよ!!」

「サンチェス国としても兄としてもそれは許さないよ」


私部屋に帰っていいですか!!

ここにいたくないんだけど!!


「だいたいメンセー国王。それを口実にソフィアを自分の国に利用する為に娶ろうと思ってるだけでしょ」

「妻は亡くなっているし、私の隣の席は空いてる。不自由はさせないが?」

「不自由になりかけてるくせによく言う…」


………ラファエルもお兄様も………

ちょっと気安すぎでは…


「ソフィアは、ソフィアを本当に愛し、ソフィアも相手を愛する、両想いの者の元にしか行かせないよ」

「ふっ。分かった」


クスクス笑うメンセー国王。

絶対からかわれているだけだと思うんだけどね。

全員が真剣な顔で言い合うものだから、第三者から見たら真面目な話かと思うだろうけれども。


「職人が来るまで、温泉街とやらに行ってみてもいいか?」

「いいですよ。案内は――」

「ああ、俺が行くよ」


お兄様が名乗り出た。

………え……なんで……?

と思ったけれど、お兄様も入りたいだけだとすぐに分かった。


「じゃあ任せるよ」


ラファエルも察したのか苦笑しながら頷いた。

その後少し会話して、解散となった。


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