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第48話 結果オーライ……です……




私の怪我の治療が終わって、私はソファーに、ラファエルは何故か私の正面で床に座って正座してます。

………この世界に正座はないハズなんだけど…


「あ~………なんで俺はソフィアを置き去りにして歩いてたんだ。なんで俺はルイスなんかに怒ってソフィアを忘れたんだ。ソフィアを忘れた俺はクズだ……」


………さっきからこの調子で、話しかけた声は次々と空に消えていった……

怒っていたラファエルがいなくなったのは良かったんだけど…


「ソフィア!」

「は、はい!?」

「俺を捨てないでくれ!!」


………逆にめんどくさい!!

怒ってた方がまだ良かったかもしれない…

なんでそんな極端なの!?

私がラファエル捨てるって、絶対ないし!!


「す、捨てたりしないわよ。大袈裟だよ。大体私が自分で転んだだけだし、ラファエルは悪くないよ」

「いいや! 俺が隣に居たら防げた事態だ! 怪我させることなんてなかった! それにソフィアが一生懸命俺を追いかけていたから足首まで捻ってしまって! 暫く動けなくさせてしまったし! 全部俺のせいだ! 許すなソフィア!」

「………ぁ、ぅ……」


………う、うん。

間違っちゃいないけど、一生懸命私が追いかけてたとか声高々に言わないでくれる…?

必死だった自分も恥ずかしいし…

なにより……


「そんな可愛いソフィアを見逃した俺はバカだろ!」


………こういう恥ずかしいことを平気で口に出して正座したまま体を丸めて頭を抱え、悔しがっているラファエル。

もう何もかも恥ずかしいから止めて欲しい。

王子をこんな風にした私は、逆に凄いな……と何処か他人事のように思ってしまった。

………っと、それにしてもどうしようか……

ルイスはラファエルを休ませるために、息抜きさせるために王宮から追い出した。

でも、とんぼ返りした私達は王宮に用意された私の部屋に戻ってきてしまっている。

………ぁ、サンチェス国から帰ってきた日に、私はラファエルと共に王宮に部屋一室用意されていた。

もはやラファエルの兄二人はここにはいない。

戻ってこないと判断されている。

よって、ランドルフ国の王太子はラファエルと決まり、ラファエルは王太子としての部屋が用意された。

そしてその婚約者の私の部屋も隣に用意されたのだった。

………それはいいのだけど……

………広すぎるのよ部屋が。

離宮で過ごしていた部屋の倍の広さが二室分。

しかも寝室はラファエルの部屋と扉一つで繋がっているという……

なんという拷問なんでしょうか!?

い、いや、どうしてそうなっているかの仕組みは分かってるよ!?

そ、そういう教育もまぁ……受けて……

ってどうでも良いよそんな事!!

と、とにかく、ラファエルとせっかくデート出来ると……

………

………………

………………………デート!?

え!?

わ、私、ラファエルとデートしようとしてたの!?

ラファエルを休ませるという役割与えられてたから、今の今まで気づかなかったよ!

自分の言葉にビックリしちゃったよ!!

………でも、そっか……

デート、か。

それ、台無しにしちゃったなぁ……

ラファエルとのデート、一応二度目だったのに。

最初はここに来て初めて街に行ったとき。

あの時もゆっくりできなかったな。

………ん?

ちょっとまって。

今、この状態こそゆっくり出来るんじゃないの?

私は足捻っちゃって2・3日動くなって言われてるし…

ラファエルは罪悪感持っちゃってるし…


「………ラファエル…」

「ん? なに?」


あ、良かった。

返事してくれた。


「私、医者から動くなって言われたんだけど」

「言われたね?」


キョトンとして見ないで!!

可愛いから!!

ネガティブから戻ってくれたのは嬉しいけれども!!


「動かなきゃ、暇なんだけど」

「あ、本持ってくる?」

「じゃなくて……」

「あ、じゃあ刺繍? 侍女に持ってこさせるよ」

「でもなくて…」


そもそも刺繍道具はそこの棚にあるし。


「?」


あ~……どうしよう……

思いついたは良いけど……

いざ言おうとすると恥ずかしい……

………いやいや!

勇気出せソフィア!

ラファエルを休ませるんだ!

私はゆっくりと床に膝をつき、ラファエルの前に、ラファエルに上目遣いするために少し体を下げる。


「………ラファエル、一緒にいて話し相手してくれないの……? さっきからずっと自分を責めて私置き去りにしてるから……寂しいよ?」

「!!」


カァッと一気にラファエルの顔が真っ赤になった。

………この作戦は上手くいくのに……

何故手を合わせて首傾げの作戦は上手くいかないのだろうか……

納得がいかない…


「………本とか刺繍とかより、ラファエルが、いい……」


うっわ!

思ってたより恥ずかしかった!!

言葉詰まるし、顔が熱い!!


「ソフィア……」

「ふぇ!?」


ラファエルに呼ばれたと思ったら次の瞬間にはラファエルの腕の中に居た。


「え、ちょっ!?」


これは心の準備できてなかったんですけど!


「なにあの破壊力。ソフィアはズルいなぁ」

「ズル……!?」

「ぁぁ、可愛い。食べちゃいたい」

「食べないで!!」

「やだ。ちょうだい」


さっきまでネガティブになっていた人と同一人物なのだろうか。

もう機嫌良く笑っているラファエル。

そんなラファエルに私は唇を奪われてしまった。

食べるなって言ったのにぃ!!


「ソフィアの足が治るまで、ずっと一緒にいてあげる。俺のせいだし、なによりソフィアの可愛いお願いだからね」


私は後悔した。

だって、ラファエルはとてもいい顔で言ったから。

その後、笑顔がニヤリと何か企んでいる顔になったから。


「ほ、程々、で……」

「可愛いソフィアの可愛いお願いだからね」


二回目!!

その言葉二回目だから!!

よほど私のおねだりが嬉しかったらしい。

私は逃げられないことを悟った。

そして自分の言葉を、考えを恨んだ。


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