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第473話 無駄遣い




「ソフィア、太ったんですって?」

「ごふっ!」


学園のお昼休み。

ラファエルとローズとフィーアと影’sで、王族専用食堂で食事していた。

フィーアと影’sはラファエルが招いた形に、周囲には見せている。

食事を終えて、食後のティータイムを楽しんでいた時、ローズからストレートに聞かれた。

飲んでいたお茶を噴き出してしまうところだった。

咽せただけでよかった…

そこら中をお茶で汚すところだった…


「え? ソフィア太ったの?」

「ちょ、ローズ!!」


ガタッと思わず立ち上がってしまう。

ラファエルには黙ってたのに!!

1番知られたくない相手だよ!!


「あら。もうすぐパーティーなのに、せっかく贈ってくださったドレスが合わなくて参加できないって、それこそ恥ずかしいですわよ?」

「ちゃんと今日から運動量増やしてるもん!!」


私が今食べた食事も野菜多めにしてもらったし!!


「見た目変わらないけど?」

「………ラファエル、ジッと見ないで…」


上から下までラファエルに眺められ、いたたまれない…

思わずお腹周りを腕でどうにか隠せないか考えてしまう。


「制服のサイズがキツくないなら大丈夫じゃない? ドレスならコルセットも着けるんだし」


………ぁ、ぁの……ラファエルさん?

真面目な顔して言わないでくれる…?

頬が赤くなっていくのが自分で分かってしまう。

恥ずかしすぎるんですけど!!


「まぁ、ラファエル様はそういう事気にしないのですか?」

「そういう事って?」

「ソフィアのスタイルですわ」

「ソフィアはどんなソフィアでも可愛いでしょ?」


ニッコリ笑ってラファエルが言うと、皆微妙な顔をした。

………気持ちは分かるけれども…


「………ラファエル様のソフィアに対する溺愛が凄いですわ…」


………ローズ、本気で引かないで…


「俺は気にせず幸せそうにソフィアが食事してくれてたらそれでいいし。甘味も気にせず食べなね? ソフィアが倒れる方が嫌なんだから、無理して体格維持しなくていいよ」


それは女として喜んでいいのかどうか分からないんだけど…


「婚約者としては理想の男性ですけれども、女性としては複雑な気分になりますよ」


ありがとうフィーア…

私の言葉を代弁してくれて…


「いざとなったら水精霊イズミに体内を整えてもらったら良いよ」

「………へ!?」


ラファエルの言葉に私は驚き、彼をまじまじと見てしまった。


「俺もルイスに剣の鍛錬止められてたときにちょっと太り気味になっちゃってね。ユーグに整えてもらってたんだ」


………せ、精霊の力の無駄遣い!!

っていうか、そんな事出来るの!?


「付いた肉は自分で何とかしないとだけど、体内循環をよくしてくれるよ」


………つまり、溜まった脂肪とかを取れやすくなるようにしてくれるってことかな…?


「………それ、反則なんじゃ…」

「使えるものは使わなきゃ」


王族――というか貴族が考えそうなことだね…

でも、ちょっと心惹かれる…

さすがに僅かな期間でお腹引っ込むとは思えないし…

水精霊イズミに整えてもらって運動したら早く取れるかも!

罪悪感があれど、私はラファエルの言葉に従おうと思った。

さ、サプリの代用みたいなものと思えばいい、よね!


「ソフィア」

「え?」

「わたくしにもお願いね」


ニッコリ笑ってローズに言われ、更に隣のフィーアにはちょっと期待を込めた視線を向けられている。

………何気に2人も気になってたのか!!

自分だけじゃなくてホッとすると同時に、ローズが同じ悩みを抱えながら私の秘密をラファエルに暴露したことに、むくれてしまった。


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