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第469話 今更だけれど ―R side―




「レオポルド殿」

「ん?」


呑気にお茶を飲んでいるレオポルド殿を見る。


「ソフィアはサンチェス国でのように、自由にさせてた方が良いのかな」


真剣に聞いたのに、レオポルド殿が腹を抱えて笑い始めた。


「あはははっ」

「………レオポルド殿…」

「あ~ごめんごめん。今更だねぇ。ラファエル殿はソフィアを囲ってたいんでしょ?」

「それは……そうですが…」


ソフィアは俺のモノ。

俺の傍に常にいて欲しいと思っている。

けれど、ソフィアがこんな事になるなら、引き留めるような真似はしない方がいいとも思う。


「それは俺に聞くことじゃないよ」


パクッとレオポルド殿が俺が新しく考案した甘味を口にする。

ソフィアに好評で、次々と食べてくれたから、来月には店で販売予定だ。

………止めなかったから次の日にソフィアは寝込んじゃったんだけど。


「あ、これ美味い」

「ありがと」

「ソフィアの望みはソフィアが常に言ってると思うよ。それを出来るだけ叶えてあげたら良いでしょ。毎回許可してたら民に示しがつかないけどね」

「………」

「大丈夫だよ。自分でもう無理だと判断したら今日みたいにお転婆して鬱憤晴らしてるから」


………それはそれで心配なんだけど…

怪我してるし…

王女以前に女なんだから、怪我なんてしないで欲しいんだよね。


「あれでも大人しい方だよ。王女なのに額とか鼻とか怪我して、顔面ガーゼだらけだったこともあるよ」

「………」


ソフィア……

何やってるの…


「………それ、ちなみにいつ?」

「………5・6歳?」

「時効でしょ…」


それはまだ子供だったら仕方ないって言えば済む話だ。


「そんな時じゃないって分かってたら大人しくしてるから、気付いたのならその後で気分転換させてやれば良いよ。それに、我慢もいい加減に覚えさせなきゃ」


………そんな子供を躾けるみたいに言わなくても……


「ランドルフ国の王太子妃――次期王妃になるんだから、勝手に出来ないともソフィアは自分で分かってるよ。人前ではわきまえるし」

「………」

「気にしすぎるのも良くないよ。もっとソフィアは隠して後で爆発するから。いつも通りで良いの」


レオポルド殿の言葉に、渋々ながらも頷いた。

経験者の言うことは聞いた方が良い。


「ソフィアには適度な甘味と適度な愛情与えてたらいいから」

「………動物じゃないんだから…」

「大丈夫だよ。ソフィアは君に愛されてるって分かればそれでいいんだよ」

「俺は常にソフィアを愛してるし、口にしてる!」


まだ足りないというのか?


「そう。それでいいの。ラファエル殿もソフィアを気にしすぎてたら、互いに気を使う関係になっちゃうでしょ」

「………ぁ…」

「恋人とか夫婦って、そんなんじゃないでしょ? 互いに育ちも性別も考え方も違う者同士、譲れないことや理解できないところはどうしても出てくる。ある程度許容し、見逃せるところも作らなきゃね。これから一生共に生きていくんでしょ」

「………そうだね」


レオポルド殿の言うことは正しい。

俺はソフィアに嫌われないように、ソフィアの全てを理解しようとしてきた。

そしてソフィアの言うことを極力叶えようと……

………それも無意識のうちにソフィアの負担となっていたのかもしれない。


「ラファエル殿は少し手を抜くことを覚えた方が良いよ。遠慮しすぎも良くないけどね。互いに。俺とソフィアみたいに何でも言える間柄は理想だけどねぇ。互いに尊重できる間柄になればいいね」

「………そうだね……って! 俺はレオポルド殿より上だから!!」

「いぃやぁ……」

「疑わしい目で見ないでくれる!?」


レオポルド殿と言い合っていると、徐々にソフィアの臣下達の頬が緩み、ピリピリしていた空気が緩んだ。

加減が難しいとは思うけど、今まで通り、ちゃんとソフィアを見ようと思った。


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