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第463話 最悪です




カツカツと王宮の通路を歩き、もう少しで王宮から出られる。

――というところで、侍女達に止められた。

………見た顔達だなぁ…


「………貴女達の長は、ラファエル様ですか」


目を細めてそう言うと、サッと侍女達は顔色を変え、道を開けた。

………まったく…


「ラファエル様はわたくしの事を甘く見すぎておりますわ」


私が精霊侍女達を退しりぞけられないとでも?

そもそも彼女たちの主は究極精霊であり、究極精霊の契約者は私だ。

自分の精霊伝いで私を引き留めるように言ったのだろうけれど、私がその気になれば、彼女たちの意思を無視して命令することも出来る。

開いた道を通り、外に足を踏み出した途端、今度は王宮騎士達に囲まれてしまう。


「………」

「ソフィア様! お戻り下さい!」

「嫌ですわ」

「ソフィア様!」


………面倒くさい。

精霊侍女は騎士達が駆けつけてくる時間稼ぎだったのかしら。


「お退きなさい。わたくしはラファエル様に外出の許可はもらっております」

「いえ、ラファエル様はソフィア様をお止めしろと仰いました!」

「それは先程、でしょう?」

「え……」

「わたくしは、ラファエル様が倒れられる前に、確かに護衛ありでしたら外出して良いと許可して頂いてます」


忘れてませんよ。

ラファエルが毒を飲む前、サンチェス国から帰国したその時に、出かけて良いと。


「1度許可したことを覆すなら、それ相応の理由を提示して下さいませ」


私が言うと騎士達が戸惑い、顔を見合わせあう。

理由までは説明されず、止めろとだけ言われたのだろう。


「お退きなさい」


もう1度言うと、騎士達は後ずさりする。

けれども道は開かない。


「オーフェス、ヒューバート、アルバート、ジェラルド。わたくしの前を塞ぐ障害物は排除なさい」

「「「「御意」」」」


すぐさま私の騎士は動いて、王宮騎士達を力技で退しりぞけていく。

勿論剣は抜いていない。

王宮で抜刀など、非常事態以外ではありえない。

………この前はラファエルが、抜刀しちゃってたけれどね。

ようやく開いた道を歩き出し――出せなかった。

私は王宮の門に視線を向けると、豪華な馬車がガラガラと音を立ててこちらに向かってきていたから。


「………なんでよ……もぉ…」


小声で呟いた。

その馬車の側面には、サンチェス国王家の紋章が刻まれていたから。

御者が降りて馬車の扉を開くと、降りてきたのは――


「やぁソフィア。元気だった?」

「………お兄様…」

「制服だね。これから学園? もう日は高いよ。サボり?」

「失礼なことを仰らないで下さいませ。ラファエル様からのご命令で用事を済ませてましたの」


なんでこうも邪魔が入るの!

私はただ、今この王宮にいたくないだけなのに!


「………お兄様、先触れがございませんでしたが?」

「ああ、ごめんね。サンチェス国で謹慎を受けているはずの公爵が、ランドルフ国へ向かったと影に聞いてね」


………ディエルゴ公爵……謹慎中だったのか…

それは申し訳ない。

私が伝えたからだ。


「謹慎とは知りませんでしたわ。申し訳ございません。わたくしが公爵の子供達の居場所を教えてしまいましたから」

「それはいいんだよ。どんな理由であれ、王に言われた謹慎なのだから、動くなら王に許可をもらうのは当然。もらわずに出国した公爵の責任だよ」

「そうですわね」

「公爵に会わせてもらうよ。案内してくれる?」


私は周りの目があるのにも関わらず、天を仰いだ。


「………最悪…」


私の苛立ちは、暫く続きそうだ。


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