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第462話 なにもかもに




面会室から薄暗い地下を早足で歩いて出て、私は歩いていた王宮内巡回の騎士に声をかける。


「ラファエル様はどこですか」

「え、ぁ……えっと…」


戸惑う騎士にイラつく。


「知らないならすぐそう言いなさい」

「し、失礼致しました! げ、現在は執務室で…」

「そう。ありがと」


足早にその場を離れる。

ラファエルの執務室へ向かう。


「ソフィア様、ラファエル様は今お仕事中では――」

「関係ない」

「か――」


ポカンとする私の騎士達を置き去りに、私は歩いて行く。


『………ソフィア様、怒ってね?』

『怒ってますね…』

『何故でしょうか……?』

『先程まではいつも通りだったよねぇ…?』


ヒソヒソと後ろで囁かれてますけれども。

察しの良いオーフェスとヒューバートが察せないなんて。


「………黙って付いてこられないなら、上のだけでいいから」


後ろを睨みつけると、ピシッと騎士達が直立不動になる。

その後は大人しくなった。

そして音もなく私の後に続く。

数分後、私はラファエルの執務室の前にいた。

………若干、若干よ?

足がガクガクするけれども。

両側に立っている騎士を無視して、コンコンとノックする。

数秒後、扉が中から開いた。

ルイスが顔を出す。


「ソフィア様。何か御用でしょうか」

「ラファエル様に御用があります」

「………ラファエル様は現在手が離せません。時間が空きましたらお知らせしますので」

「………へぇ?」


あ、思った以上に低い声が出てしまった。

普段顔に感情を出さないルイスの顔が少し引きつった。


「………あらそう。では、時間が出来るまでわたくしは街へ行ってくるわ」

「「「「「「………は!?」」」」」」


………1人多いんだけど。

中のラファエルの所まで私の声は届いてるんだ?

ルイスが出てきて扉を閉めてたのに。


「仕方ないでしょう? 学園に行こうとしていましたら呼び止められまして、罪人との面会をしてきて下さいと言われまして、面会をしましたら罪人に馬鹿にされましてね」


あ、頬がピクピクしてる。

怒ってはないのだけれどもね?

結構不愉快なのですよ。


「面会しろと仰ったラファエル様に、どういうおつもりか聞きに来ましたら面会さえ出来ないと言われましたからね。わたくし、怒っておりませんけれども、こんな気持ちのまま学園にも向かえませんし、静かに退屈な部屋に戻るつもりはございません」

『………怒ってるよ…』

『完全に怒ってますよね…』

『………あのガキ共絞めてきますか?』

「………わたくし、黙って下さいとお伝えしたはずですが?」


またまた直立不動になる騎士達。


「今すぐラファエル様に面会できないのでしたら、街へ行ってきますわ」

「お、お待ち下さい!」


ルイスの制止を振り切り、私はその場を後にした。


「ちょ、待って! ソフィア!!」


後方から慌てたラファエルの声がするけれど、私は止まらずその場を後にした。


「甘い物食べたいですわね」


私は制服のまま、王宮を後にした。

ラファエル?

ルイス?

知らないし。

子供に馬鹿にされ、叔父に馬鹿にされ、屈辱を受けた。

そしてそんな私にラファエルは子供と面会をしろと言った。

面会したらまた馬鹿にされた。

ラファエルにどういうつもりかと聞きに行ったら、面会さえ出来なかった。

全てに馬鹿にされているような気がして、気分は良くなかった。


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