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第458話 仲良く歩いて




2人の子供は、私の騎士達に後ろ手に拘束された。

先を歩くアルバートと子供の後ろを歩くオーフェスに挟まれ、大人しく歩いている。

ラファエルと私は前後に私の影、私の隣にはヒューバートがいる。


「ソフィア様、大丈夫ですか?」

「これぐらい歩けますわよ」

「ですが、足もとはヒールでは?」


民に見つからないように木々に囲まれた獣道を進んでいる私達の足もとは、かなり悪い。

王宮への近道なのだとか。

騎士が屯所と行き来するときに使用している道らしいから、ある程度の整備はされている方らしい。

一応注意して歩いてるのだけれどね。

まだ平坦なだけマシだ。

王宮までの道でおそらく途中から上り坂になるだろう。

その時はちょっと分からないけれど。


「ええ。ですが大丈夫ですわ」

「………疲れたら仰って下さい」

「ありがとう」

「その時は私が運んであげるからね」


………ラファエル…さり気なく便乗しないで…


「はい。その時には」


絶対にそんな羞恥プレイは遠慮しますけれども!!


「そういえばソフィア。ローズ嬢とのデートは楽しかったかい?」


………今聞いてくる!?

元々下手なこと言えないけれども!

何がラファエルの逆鱗に触れるか分からないから。


「いえ……ローズの気持ちが落ち着くまで待っていただけですから……ラファエル様と離されて寂しかったですわ…」

「だよね。せっかくのお出かけだったのにね」


満面の笑みで言うラファエル。

………今のはこの子供2人にも嫌みで言ったのかしら…

子供達の肩が跳ねてたよ。


「また今度お時間があるときに、ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか…?」


不安そうな顔を作って首を傾げると、ラファエルがまた笑う。


「むしろ時間を作るから一緒に行こう」

「ありがとうございます」


両手を合わせて微笑むと、ラファエルも満足そうに頷く。

………う~ん……

作ってるの疲れる…

でもたとえ子供でも素の私で話してたら、帰って叔父様に報告されたらアウトだし…

我慢よ私!!

ラファエルに言ったことは嘘じゃないし。


「………ソフィア様」


影五ラルドに声をかけられ、振り向くと後方に影二シストが立っていた。

………1人だけ?

どの情報を掴んできたのだろうか?


「ご苦労様」


私が言うと影二シストが頭を下げ、そっと私に折りたたんだ紙を渡してくる。

足もとに注意して歩きながら、紙を広げた。


「………そう。ありがとう」


私は懐に紙を折りたたんでしまい、何事もなかったように歩く。

ラファエルと視線を一瞬だけ合わせて。

影二シストはそのまま影五ラルドと並んで続く。

影三アクア影四モンドの報告を待ちながら、私達は王宮へと足を進めた。

そこでふと1つ、失念していた事があったのに気付き、自然と列を離れる。

ラファエル達を視線で制して。

1本の木の前でしゃがんで、足が痛いフリをして小声で囁く。

多分いるはず。


「ライト、ちょっと頼まれてくれる?」

『なんでしょう』


聞こえるか聞こえないかの音量で囁かれる。

………さすが忍ぶ者…

聞き逃しそうだよ…

気配も一瞬強くなって、後は段々薄れていく気がする…


「サンチェス国へ行ってくれる? ディエルゴ公爵家へ。アーク叔父様に子供がランドルフ国で見つかったと伝えて」


………私も練習したらライトみたいに話せるかしら……?

小声でも声が大きい気がしてくる…


『御意』

「………子供だからといって、ラファエルが減刑してくれるかどうか分からない。来られるなら至急来られたし、と。………来てもどうしようもないと思うけど、一応、ね…」

『しかし、職務があるのでは?』

「権限を現在持たないアーク叔父様は暇を持て余しているわよ」

『………そうですね』


ライトの気配がすぐに消えた。

すぐさま立ち上がってラファエル達に合流する。


「大丈夫?」

「大丈夫です。痛い気がしたのですが、足は何ともなっておりませんでしたわ。すみませんお待たせしてしまって」

「いいよ。抱えようか?」

「まだ大丈夫ですわ」


ニコッと笑って、私は歩き出す。


「手、繋いで良い?」

「まぁ……」


クスクス笑って、差し出された手に自分の手を乗せる。

ただ単に繋ぎたかっただけなのか、私を気遣っているのか、それとも両方なのかは判断しかねたけれども。

ラファエルと手を繋いで仲良く王宮へと戻ったのだった。


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