第456話 向かいます
ローズを急いで回収して、王宮の裏で秘密裏に火精霊に乗ってランドルフ国へ向かう。
「水精霊! ラファエルにユーグかブルー経由で伝言を! あの子供達を逃がさないようにって!」
『分かりました』
水精霊の気配が消える。
「ディエルゴ公爵の息子達だったっていうの? けれどどの家からも子供の行方不明はないって」
「隠していたのね。………ローズもアーク叔父様の子供達には会ったことないの?」
「社交デビューは12歳から。それまでは男でも女でもあまり他の家の者と会わせませんからね。わたくしも婚約者がいた身。デビュー前でも男性にはあまり接触しない方がいいしね」
「………そうね」
火精霊でランドルフ国上空へ着いたとき、水精霊が戻ってきた。
『子供達は騎士屯所で預かっているそうです。彼らの家が不明だったために、騎士預かりになったそうで』
「そう。身元は分かったと伝えた?」
私の言葉に水精霊は首を横に振る。
『いえ。子供達を逃がさぬようにと取り急ぎ』
「分かった。じゃあ屯所へ向かうわ。ラファエルにそう伝えて」
『畏まりました』
水精霊がまた行く。
「火精霊、屯所に近い人目の付かないところで降ろして」
『………ぁぁ』
………あ、機嫌が悪い。
だって、精霊の力を使うような戦いとかトラブルとか無いし。
力を解放したいのは分かるけども。
………長期休暇になったら、あの建物で力を解放させよう。
火精霊から降り、私は屯所へ向かった。
ちなみにローズは火精霊に王宮へと送らせた。
あれ以上ローズを連れ回したら、ルイスからの説教が2倍になっちゃう。
ついでに私の騎士達を連れてくるように頼んだ。
今いる私の護衛は影だけだ。
屯所に行くなら顔見知りの騎士がいた方が良い。
「影一、影五、貴方達の部下を街に放ってくれる? 彼らが一体何をしていたのか探って欲しい」
「「はい」」
2人は部下である影二、影三、影四に命令して行かせた。
直接命令しろって言われるかもだけど、たまにはリーダーと副リーダーにも役割を果たしてもらわないと。
役職なんていらないじゃないか、なんて部下に舐められたらダメだしね。
影一と影五に周りを警護してもらいながら歩いていると、上空からなんか降ってきた。
「おっしゃ! 着地成功!」
………満面の笑みで喜んでるんじゃないわよ。
「………影一、影五、絞めて」
「「はい」」
「なんでだよ!?」
降ってきたのはアルバートで、私は目の前にいきなり着地された腹いせに2人を嗾けた。
慌ててアルバートが逃げ、それを2人が追っていく。
入れ替わりにヒューバートとオーフェスが火精霊から降りてきた。
………なんで火精霊が着地するまで待たないかなぁ…
「ソフィア様! 勝手にいなくならないで下さい!」
………こっちはこっちで説教か。
「ローズに引っ張って行かれたんだから、しょうがないじゃない」
「ソフィア様はローズ嬢より立場が低いんですか!?」
オーフェスに詰め寄られ、身を引く。
近い近い!!
「………た、高いです……」
「なら拒否して下さい!!」
無理矢理ならどうしようもないと思いますけれども!?
意外と力強かったし!
せっつかれて精霊を呼び出して、国から無断で出ちゃったのは悪いと思ってるけれども…
怒ってるローズ相手に、藪をつつく真似したくなかったんだもの!
「あーはいはい! すいませんでした!」
私はヤケクソに叫んだ。
今は説教より2人の子供のこと!!
「じゃあ行こうか」
何故かラファエルがここにいますけれども!
あえて無視してたんだけどな!!
私は影一達を呼び戻して屯所へと向かった。




