第455話 判明しました
「ソフィア、ちょっと気になることがあるの」
「え……」
ローズがお父様との謁見中。
私はお母様に呼ばれ、お茶の時間。
その時にお母様に言われた。
「気になること、ですか…?」
首を傾げると、お母様が頷く。
「ええ。最近、ちょっと義弟の様子が可笑しいの」
「………義弟…」
お母様の義弟といえば、ディエルゴ公爵家、か。
ロードの家。
「………ロードのしでかしたことで、アーク叔父様の権限は今ないと伺っておりますが」
「権限の問題ではないのよ…最近元気がなくてね…」
ふぅっと頬に手を当てて息を吐き出すお母様。
「………権威より、心を持って行かれている何かが?」
「ええ」
………これはなんか変なことになりそうだぞ…
「あら……そういえば、アーク殿の子供を最近見てないわね…こちらに来るときは絶対に連れてきていたのに…」
………おおっと……?
確かアーク叔父様の顔は……
頭の中でお父様に似ている叔父の顔が浮かび上がり、何故かあの時会った子供達の顔が次に浮かんできた。
………あれぇ……
なんか似てるなぁ…
………
………………
………………………
………………………………親子!?
いやいやいやいや!
え!?
だったらあの時のあの台詞って……
伯母さんの娘、って意味での“おばさん!?”
ちょっと待って!?
サンチェス国民、しかも従兄弟が私の事を知らない!?
いや、知らないふりしたって事!?
連れ戻されないために!?
ああ、ちなみに私は知らないよ。
だって会ったことないし。
ロードから逃げ回ってたから必然的に。
「え……あれ? でもあの時の子供達は10歳前後に見えたけど…」
「あら。会ったの? 当然よ。ロードが出来てから暫く子作りしてなかったから」
「そうなの…?」
約10年ぐらい空いても、子供って出来るのかな――
………あ、今目の前にいる人も妊婦だった。
私がもう17になるからそれ以上空いてるわ…
「どこで会ったの? 城下街?」
………え?
これ言っていいの…?
………黙ってるのはマズいよね…
「………いえ…ランドルフ国でチラッと…」
「………ランドルフ国で……?」
お母様が眉を潜めた。
こうしてはいられないわ!
「すみませんお母様。ローズと共に急いで戻りますわ。本当に叔父様の子供でしたら連れ戻さなければ!」
ソファーから立ち上がる。
早く戻らなきゃ。
「そうね」
「確か名前は……」
なんかロードと似たような名前だったような…
「ローグ・ディエルゴと、ローム・ディエルゴよ」
「あ、そうだったわね。ありがとうお母様」
なんで1字違いの名前にしたのかなぁ!
覚えやすそうで混ざっちゃうわよ!
「叔父様のためにも、出来るだけ早く連れ戻してちょうだいね」
「はい。失礼しますね」
私は早足で部屋を出た。
もぉ!!
どうやって子供がランドルフ国まで行ったのよ!
貴族の子なら、あの服装も頷ける。
そしてどうしてラファエルとルイスを、年齢も違うのに父親だと言い張ったのか。
………叔父様と同じ黒髪だったからだ。
他国で心細くなったのだろう。
そして父親と同じ黒髪を見つけ、思わず抱きついた。
………ぁぁもう!!
私はお母様の部屋を出て、お父様とローズが謁見している部屋へと走った。




