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第450話 ラファエルのおねだり




「ねぇ、ソフィア」

「何?」


私が紛らわしい言い方をしてしまって、みんなを困らせてから数十分。

ラファエルは私の刺繍を静かに眺めていたのだけれど、不意に話しかけられた。

手を止めて隣に座っているラファエルを見上げる。


「1つお願いがあるんだけど」

「いいよ。私に出来ることなら」

「紫の生地でハンカチを作って欲しいんだ。赤の糸で刺繍して」


危ない。

危うく指を刺してしまうところだった。

私の象徴である紫色の布に、ラファエルの目の色で刺繍って…

あ、焦るな私!!

顔が赤くなりそうだ!


「出来ればパーティーまでに仕上げてくれると助かるんだけど」

「あ、の……」

「ああ。勿論ソフィアが持つのは赤い生地で紫色の糸ね」


ああ……

満面の笑みだ…

しかも出来ることならいいと言ってしまっている。

こ、断れない…


「まぁソフィアの刺繍する速度は速いから、間に合うと思うけどね」


ますます断れない!!


「が、頑張る…」

「うん。万が一落としても分かるように名前入れてね。俺がソフィアの作った物を落とすなんてありえないけどね」

「わ、分かった…」

「ぁぁ、ソフィアとの揃いのユビワの俺の宝石を紫に変えなきゃね」


………どれだけ互いの色にこだわりが!?

私の紫はサンチェス国で、ただお父様とお兄様と私の物を区別するためだけの色であっただけなのに!!

王家の色と混じらないよう、サンチェス国民に禁色として3色の色を使わせてないのも、ただそれだけの理由。

ランドルフ国での私を現す色は、ラファエルと揃いのこの黒い髪と黒の瞳だけだ。


「あ、あのねラファエル…」

「商人呼ばないとね」


………これはダメそうだ…

でも諦めない!


「ら、ラファエル! 私は指輪がラファエルとお揃いの色で気に入ってるの! 宝石変えたら許さないから!」

「じゃあこのままで」


え……

キリッといい顔で即答された。

い、いいんだ…


「ソフィアに嫌われたくないし」


………ぶれないラファエルさんでなによりです…


「い、いいの……?」

「うん。ソフィアの嫌がることはしないよ」


ニッコリ笑って言うラファエルだけれども。

強引なときは嫌がっても止めてくれないよね?


「あ、ソフィア」

「なに?」

「ドレス試着してサイズが合わなかったら言ってね? 針子呼ぶから」

「あ、うん」

「靴もあるからちゃんと痛いときは言うんだよ?」

「分かった」


細かく言ってくるラファエルに苦笑する。

それぐらい、言われなくても分かってるのに…

わざわざ針子を呼ばなくても、サイズ直しは自分で出来るのに。

だてにドレスのリメイクやってきてるわけないし。

靴はさすがに無理だから、頼むことになるけど。

………とりあえず…


「ラファエル。紫の布と紫の糸を用意できる? この部屋には用意してないから」

「え? 当然あると思ってたのに」


………ランドルフ国で紫色はそれほど重要と思っていなかったし…

サンチェス国との連絡用には使用するけれども、ここでまでこだわる必要ないと思ってたし…


「手配してくるね」


ラファエルが嬉々として出て行った。

私は詰めていた息を吐いたのだった。


私事ですが、本日で1つ年を重ねてしまいました。

「転生したらモブはモブでも王族でした」を、いつも継読していただいている皆様に感謝を。

早いもので、1年以上続けて来られているのは、皆様がお読みくださっているおかげだと思っております。

途中怪我で四苦八苦しておりまして、ご感想頂いている方への返信も滞り、申し訳なく思っております。

なんとか怪我と折り合いをつけながら、小説だけは1日1話UPをと思っております。

お読みくださっている方、そして評価してくださっている皆様に感謝しつつ、頑張りたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いいたします。

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