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第445話 言っちゃダメなのかな




「………今、なんて言った?」


学園から帰ってきた影’sから聞いた言葉が、信じられなくて聞き返した。

私以外の人は何でもないような顔をしている。


「ですから試験結果は、ラファエル様が1位で、ソフィア様も1位でした」


ラファエルと上下に並ぶどころか横並び!?

同一の点数だったって事!?


「いやいやいやいや!! 絶対嘘でしょ!?」


そんなチート持ってないよ!!


「だから言ったでしょ? 今回は大丈夫だって」


………そんな本読みながら、興味なさそうに言わないでくれますかねラファエル様!?


「だって!! ケアレスミスとか、ちゃんとチェックしてなかったし!!」

「見直してなくても合ってたんだから良いでしょ」

「試験の結果なんだから変わらないよ~。前回の58位同様に」

「ちょ!? 何気にトラウマを出さないでくれる!?」


凄く自然に言われたよ!?

しかもジェラルドに!!


「………さて、ソフィアも元気になったみたいだし、ちょっと仕事してくる」

「ぁ……ごめんなさい。ありがとう付いていてくれて」


食べ過ぎという恥ずかしい寝込みに、ラファエルは笑うことなく1日付いていてくれた。

おそらく看病という口実で仕事をサボっていたのも、半分ぐらい理由としてはあるだろうけれど。


「ちゃんと寝てるんだよ?」

「はぁい」


ラファエルが私の頭を撫で、笑って出て行った。

ぼふっと枕に顔を埋める。


「………ぁ~~~~……」


試験の結果に、私は頭を抱えてしまう。

徐々に順位が上がれば、万々歳だったのに!

急にトップって!!


「………どうしたんですかソフィア様」

「………なんで1位になんかなっているの私……」

「………何故落ち込んでいるんですか。喜ばしいことでしょう?」


無表情のオーフェスに言われると、何故か反抗したくなるなぁ…

完璧なオーフェスには分からないでしょうよ。


「………あのねぇ……1度上位になってしまったら、この後もずっとプレッシャーを受けることになるのよ? ぁ、胃が痛くなってきた……」

「………ソフィア様の場合は胃のもたれでは」


………ですよね!!

今の私は食べ過ぎで寝込んでいますからね!

胃もたれで気持ち悪いとか痛いとかですよね!!

………って、ちがーう!!


「私は天才じゃないから!! 凡人だから!! 努力しないと出来ないのですよ!!」

「自慢することではないですよね」

「言わせてるのは誰よ!!」


ブンッと枕を投げても、オーフェスは難なく受け止める。


「適当にやればよかったのによ」

「アルバートは適当すぎでしょ!! ってかラファエルに教えてもらったのに適当になんて出来るわけないでしょ!!」

「じゃあ手を抜けなかったんでしょ~? 当然の結果なんだから、今更ぐだぐだ言って何が変わるのぉ?」


………ジェラルドにまで言われてしまった。

ぅぅぅ……

次の試験が憂鬱だ…


「………ソフィア様、弱音を吐き出し終えましたでしょうか」

「………吐き出し終えましたよぉ……何よぉ……」


今度はヒューバートに冷静に言われたよ。

………私の味方はいないのか。


「王女たるもの、常に皆のトップに立たなければならないのですから、それぐらい当然のこととして、堂々とした態度をしていてください」

「………分かってます」


従者の前でもそういう態度をとれと…?

胸の中だけで喚けと……

………私のストレスがどんどん溜まっても、吐き出すなと…

あ、胃が痛い…

………分かってますよ。

王女としてちゃんとしておけていうのは。

頑張るけれども。

勉強も社交も常に見本となるようにしなければならない。

何でも完璧に、か。

私はみんなを下がらせて、布団に潜り込んだ。

………完璧な人って、愚痴1つこぼしちゃダメなのかな…

………弱音吐いちゃ……弱気になっちゃダメなのかな…

分かっていてもそう考えてしまった。

………よし!

寝よう!!

寝たら安定する!

私は無理矢理意識を手放したのだった。


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