表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
439/740

第439話 邪魔しかしない




「助けてくれソフィア様!!」

「嫌だ」


バタンッと勢いよく私の部屋の扉が勢いよく開かれ、大音量で叫ばれた。

………デジャブ…

反射的に言い返す。

カリカリとペンを動かし机に向かっていた私は、ゆっくりと入り口を見た。


「即答するな!!」

「………アルバート」

「はっ!!」


私が注意しなくても、オーフェスが注意してくれた。


「そんな事言わずに助けてくれ――下さい!!」

「だから嫌だって」


内容を聞かずとも、くだらない話だと思って首を横に振る。

手に紙を持っているみたいだけれど、アルバートの握力でもう読めないだろう。


「せめて内容を聞いてから断ってくれ!!」

「………アルバート」

「あ、下さい!!」


………オーフェスとまるで漫才みたいになっているんですけれども…


「見て分からない? 私は他人を助けている場合ではない」

「自分の従者を他人だと!?」

「他人でしょ」


アルバートは私じゃないんだから他人だ。


「従者の困りごとより大事なことって何だよ!?」

「試験勉強」


ズバッと言えば、部屋の音がなくなった。

………え?

可笑しくない!?

現在私はラファエルから渡された、試験模擬問題を解いている最中なのだ。

試験まであと少しの日数しかないのだから、最後の追い込み中。

次こそはせめて!!

………20位までには入れば良いなぁ…

え?

ラファエルと並べ、って?

無理でしょ。

前回58位だった私が2位?

そんなチート持ってません。


「そんなことより!!」


バキッ!!

アルバートの言葉に、何故か私の手の中のペンが真っ二つに折れた。

やだ。

劣化してたのかしら。

それとも不良品だったのかな?

作成者に文句言った方が良い?

………あれ?

何故私の従者全員、真っ青な顔をしているんだろうか。

私何かしたのかな?

………って、そうじゃなかった。

ペンなんか今どうでもいい。

手がペンのインク漏れで、真っ黒になっていても今は気にしない。


「………そんなこと?」

「あ、いや……」

「前回学園で58位という恥ずべき順位を叩き出してしまった私が、リベンジするために勉強するのは可笑しいのかしら?」

「すんませんでした!!」


アルバートが直立不動になって謝った。

………はぁ……


「………で、何?」

「え……」

「断ってここでウジウジしてもらっても困るから。話だけでも聞くわ」

「い、いいのか……?」

「早く話すか、ここから出て行くか選んで。私が怒る前に」

「も、もう怒って…」

「は?」

「フィーアの親から一度来いと招待状が来ました!! どうすればいいですか!!」


頬杖をついて普通にアルバートを見上げただけなのに、何故冷や汗かきながら叫ぶのだろうか。

フィーア、ということは…


「アシュトン公爵が招待してるの?」


アマリリスに汚れた手を綺麗にしてもらった後、私はアルバートから問題の手紙を受け取る。


「………ぐっしゃぐしゃじゃない。持ってくるならちゃんと綺麗なまま持ってきなさいよ」

「す、すま――すんません!」


紙を丁寧に伸ばして、何とか読めるようにした後、読んでいく。


「………確かに1度顔を見せろ、的なこと書いてるね。フィーアと一緒に」

「ど、どうすればいいんだ!?」

「行けばいいじゃない」


話は終わりと、ラファエルの試験問題に視線を戻すと、ガシィッと腕を掴まれる。


「………離して」

「服は!? 言葉遣いは!? っていうか、なんか断りの名案ないか!?」

「断るなんて言語道断でしょ。ってか離して」


私では無理なのでオーフェス達に引き離してもらう。


「大体、ちゃんと受け入れてもらったんだから、きちんと挨拶に行きなさい。どれだけ時間が経っていると思っているの」

「ぐっ……」

「それに相談する相手が違う」

「は?」

「相談すべきは」


ビシッと私は壁際で、我関せずを貫いているフィーアを指差す。


「自分の婚約者でしょ」

「………ぁ……」

「フィーア。婚約者連れて退出を」

「………畏まりました」


心底嫌そうな顔をしてフィーアがアルバートの腕を掴んで出て行った。


「………アルバートってずっとああなのかしら……」

「………教育しておきます」

「宜しく」


アルバートの教育はオーフェス達に任せてっと……


「ひぃやぁぁあぁぁぁ!?」

「!? ソフィア様!?」

「ラファエルがせっかく作ってくれた試験問題が、真っ黒になっちゃってるぅ!!」


先程のペンのインクが、アルバートに気を取られているうちに面積を広げ、試験問題の紙を染めていた。

私は真っ青になって、ラファエルが帰ってくるまでどうにかできないか、奮闘していたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ