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第431話 聞いてませんけれども?




「社交パーティ?」

「そう。学園の節目節目に交流会と称してやってるんだ」


………初めて聞きましたけれども!?


「長期休みの前にするんだ。もうすぐ長期休みに入るからね」

「………ぁぁ、もうそんなに経ったのね…」


学園にはそんなに通った覚えないですけどね!


「まぁその前にソフィアのお待ちかねがあるけどね」

「え?」

「試験だよ。長期休み前の」


………

………………

………………………期末試験か!!

私は思わず頭を抱えた。

学生の本分ですね。

分かります。

分かりますよ?

でも、転生先でも試験に悩むのは悲しいものがあるよね…

ん?

ということは前の試験は中間試験だったのか…

前より難しいんだろうな…


「ラファエル、また勉強見てもらってもいい?」

「喜んで」


快くラファエルに引き受けてもらえて、ホッとする。

独学では限界があるし。

ラファエルに教えてもらった方が捗るしね。

前回の試験で私の頭の悪さがバレちゃったから、教室で堂々と教えてもらっても、もう恥でも何でもない!

というか、開き直れた、が正しい。


「2国の留学王族は、パーティの後で強制送還になりそうだよ」

「………ぁ、そっか。向こうに連絡するのはすぐでも、向こうからの返事が遅いんだ」

「うん。通常ルートで双方やり取りしないとね」


こんなにも早く対応できるのは、私達の精霊のおかげ。

それは私と各国の王にのみ許された、究極精霊と契約している者のみの特権と言っていい。

各国の王は必要以上に精霊の存在を隠すだろう。

国民にさえ精霊の存在を教えていないのだから。

………そういえばカイ王子は、何故精霊のことを知っていたのだろう。

王位継承権をもっていない――つまり王太子ではないから、王から精霊のことは知らされていないはず。

………彼も見える人…?

カマをかけるにしても、精霊という言葉が出るはずもない。

見える、というのがもっとも可能性が高いか…


「ソフィア、社交ドレス持ってる?」

「………社交ドレス?」

「そうだよ。パーティだからね」

「………ぁ」


そ、そっか……

ダンスもあるよね!?

それも練習しなきゃ、身体が忘れてそう。


「フィーア! アマリリス!」

「急いで見繕います!」

「御前失礼します!!」


2人が慌てて衣装部屋へ。


「いつ行われる?」

「1月後」

「もうちょっと早く言ってくれる!? 今の流行りのドレスにリメイクするのに、間に合うかどうかの日数ですけれども!?」

「仕立てた方が早いでしょ?」

「まだ着てないドレスがサンチェス国にも沢山あるから!!」

「………もぉ。ソフィアがまた断った……」


ラファエルが不機嫌になる。


「でもソフィア様、貴族が良い布贈ってくれてるだろ。それで仕立てれば布代いらねぇよな? 仕立代だけで」


私が鋭く睨みつけると同時に、アルバートの口をオーフェスとヒューバートが両側から塞いだ。


「………うん、そうだねアルバート。そうしたらいいよねぇ?」


ニッコリ笑ってラファエルがアルバートを見た。

それはそれは黒い笑顔でした。

額に青筋みたいなものが――

ラファエルの笑顔を見た途端に、サァッと真っ青になっていくアルバート。

………お前は余計なことばっかり言う!!

ラファエルが他の男から貰った布を身につける私を許容すると思うのか!


「ラファエル! 私、急にラファエルからドレスを贈って貰いたい気持ちになっちゃった!」


手を合わせてニッコリ笑い、ラファエルに慌てて言った。


「え!? 本当!? やった! 急いで手配するよ!」


途端にラファエルの機嫌が直った。

ドクドク脈打つ心臓が暫く治まる気配がなかった。

あ、危ないな…

危うくアルバート暗殺が成されるところだった…

ウキウキしてドレスのデザインを考えるのと注文をしに、ラファエルが部屋を出て行った後、私を含め、騎士全員がアルバートの頭を叩いたのだった。


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