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第413話 当然厳しくいきますよ




ラファエルに密かに侍女服を着て、侍女の指導をしているのがバレました。

夜にたっぷり話を聞くと言って去って行ったラファエルに、どうしようかと悩んだ。

………うん、面倒なことは後回しにしよう!

と、何事もなかったように王宮を回っていた。


「………素直に部屋に帰るという選択肢はないんでしょうかねぇ」

「ソフィア様だからなぁ」

「ソフィア様だもん」


後ろから何か聞こえてくるけど、私は何も聞いていません。


「………ぁれ?」

「どうかなさいましたか?」


私がふと何かの音を拾い、立ち止まるとオーフェスが疑問を口にする。


「………揉めてる?」

「………確かに」


オーフェス達3人の耳にも入ったようだ。

私に待つように言い、オーフェスが様子を見に行った。

私の前後はアルバートとジェラルドが守るように立つ。

その時間は数秒。

………こういう時は頼りになるよね。

オーフェスが戻ってきたときには、何故かゲッソリしていた。


「………何?」

「………2人の侍女がナルサスを取り合ってました」


オーフェスの言葉に一瞬音が消えた。


「………くだらない」

「「くだらねぇ(ないね)」」

「………はぁ」


私は思いっきりため息をついた。

業務中だっての。

私はスタスタ歩いてオーフェスが向かった通路へと入った。


「何よ! 私が先に誘ったのよ!?」

「いいえ、私よ!!」


確かに侍女2人がナルサスを挟んで言い合っている。

間に挟まれているナルサスは、うんざりした顔をしている。

………っていうか、お前もラファエルの護衛をほっぽり出して何をやってるんだ。


「ちょっと良いかしら?」

「「何よ!?」」


怖い顔を向けられました。

が、私は何も感じず半目で眺めるだけ。

私の顔を見て、何秒か考え、そして何かに気付いたように青ざめ、その場で頭を下げた。

………っていうか上手くやったねぇ。

ソフィーと精霊の目を掻い潜って、残っている者がいるとは。

他のナルサス目当ての侍女は一掃されているのに。

やるわね、と褒めたいところだけれど、詰めが甘い。

今後の選定はないとか思ってたのかしらね。

もっと上手くやりなさいよ。


「業務中のハズですが? 貴女達に振っている仕事は終わったのですか?」

「「………」」

「ああ、終わってなければ、ここで男性を取り合いなんて恥ずかしいこと、出来ませんわね」

「そ、れは……」

「チェックします。案内なさい」


思ったより低い声が出た。

ビクッと2人の肩が跳ねる。

フルフルと震える侍女は動こうとしない。

私は彼女たちから視線を外す。


「ナルサス、貴方は休憩中ですか」

「あ、……い、え……」

「では、サボって遊んでいるのですね。よほど命が惜しくないと見えます」

「ま、待ってくれ!! あ、くださ、い。お…私は、使いを頼まれ……」


………あ、そうなの?

それで途中で捕まって、困っていたということか。

………情けな…

オドオドして言葉に詰まってるし。

成長してない…というか、最近私の前ではびくびく……というか……顔色を窺いすぎて、動けなくなるってとこかしら…?


「こういうのは一切無視なさい。それでもラファエル様に仕える騎士ですか。ラファエル様より優先する事など存在しません。侍女にも当然その権利など皆無なのですから」


ジロッと侍女に視線を戻すと、矛先が自分たちに戻ったことを肌で感じ取ったのか、震えが大きくなる。


「………それとも、貴女達にラファエル様をも蔑ろにする、正当な権利があって? 王族――王太子であるラファエル様よりも権利がお有りだなんて、凄い方達なのですねぇ」

「「申し訳ございません!!」」

「わたくしに謝っても仕方がないでしょう。ナルサス、貴方はさっさとラファエル様の用を終わらせなさい。ラファエル様のお手を煩わせることになったら許しませんわよ」

「も、申し訳ございません!! 失礼致します!!」


ナルサスは走って去って行った。

改めて侍女を見る。


「………見目麗しい男性に、心惹かれるのは分かりますが、業務中にしていい行為ではないと分かっているでしょう」

「………はい」

「………申し訳ございません…」

「業務外の休暇なら何も言いません。が、王宮侍女の制服を着ての行い。軽い処罰で済むとは思わないことです」


騒ぎを聞きつけ、侍女や使用人、騎士が集まってくる。


「騎士の誰か、この者達を自室へ。部屋の前で逃げ出さぬように監視して下さい。追って沙汰を出します」

「「「「はっ!」」」」


集まってきていた騎士の中から4人。

素早く私の指示を受けて、連行していった。

………あれ?

あの騎士達も私の顔、すぐに分かったのか…

やっぱり、ラファエルの目は誤魔化せるわけないかぁ…

ガックリと肩を落としてしまった。



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